ECサイト内でキャンペーンページへの誘導や初回購入を促す際に、バナーを利用することが多いと思いますが、「アクセス数は多いのにバナーのクリック率が上がらない」と悩んでいる方も少なくないのではないでしょうか。
バナーにはさまざまな目的がありますが、ユーザーの心理に即した適切な内容と配置をしなければ、期待する効果は生まれにくいのです。
本日は、forUSERS株式会社でマーケティングを担当している筆者が、ECサイトにおけるバナーについて詳しく解説します。
ECサイトで活用する9つのバナー
それでは、ECサイトにおいて主に活用される、以下9つの目的のバナーについてそれぞれ解説します。
② 目玉商品訴求
③ 新製品訴求
④ セール・キャンペーン訴求
⑤ 送料無料訴求
⑥ ポイント・クーポン訴求
⑦ 定期購入訴求
⑧ AmazonPay・楽天ペイ訴求
⑨ 電話注文訴求
① 初回購入訴求
ECサイトにおいて初回購入は重要な要素です。初回購入を成功させることでリピート購入につながり、売上の安定に結びついていくからです。そのため、初回購入を促すバナーは、初回購入特典などを付与し、初回購入することでユーザーが得られるメリットを明示することが重要です。初回購入訴求バナーは、通常、未ログイン状態において表示されます。
◆初回購入訴求バナーの例
② 目玉商品訴求
人気商品や話題の商品、また季節の売れ筋商品など、その時期で目玉となる商品のバナーを設置することで、ユーザーが興味を持ちやすくなり、離脱防止につながります。また、目玉商品訴求は、カテゴリページや一覧ページで一定時間動きのないユーザーに対してバナーを表示することで、購入への後押しとなる場合もあり、効果的です。
◆目玉商品訴求バナーの例
③ 新製品訴求
新製品の訴求は、認知拡大、新規獲得、リピート購入促進やファンづくりなど、多くの目的があり重要なマーケティングです。そのため、バナーはトップページでもキービジュアルなど目立つ場所に、大型のバナーを設置するなどしてユーザーの目に入れて、まずは認知してもらうことが大事です。
◆新製品訴求バナーの例
④ セール・キャンペーン訴求
セールやキャンペーンを訴求するバナーは「今だけのお得感」が出やすいため、ユーザーが興味を持ちやすくなります。トップページのファーストビューなどに設置しますが、検索エンジンから直接商品ページなどにアクセスした場合、実施中のキャンペーンに気付かないことがあるため、フローティングバナー(追従バナー)をアクセスしたページのサイドや下部に出現させるなどの工夫が必要です。
◆セール・キャンペーン訴求バナーの例
⑤ 送料無料訴求
ユーザーが利用するECサイトを選ぶ際、「送料」は重要な要素の一つです。Amazonやヨドバシ.comなど送料無料の大手モールの人気により、送料がかかる場合は割高感が出てしまうので、送料無料を実施しているならしっかりアピールする必要があります。
送料無料になる購入金額を設定しておき、「あと○円で送料無料」と訴求することで、ついで買いにつなげることも可能です。
◆送料無料訴求バナーの例
⑥ ポイント・クーポン訴求
ポイントアップや割引クーポンの訴求は、ユーザーの購入意欲の促進に大きな効果があります。そのためフローティングバナーなどで、ユーザーの目に入りやすい表示方法にすべきです。
ただし、購入促進に効果があるからと言って、実施する頻度が多すぎると買い控えも起きやすく、ショップ側にもメリットはありません。例えば「毎月5のつく日はポイントアップデー」などとすることで、お得になる日がユーザーに認知されれば、リピート購入にもつながりやすくなります。
◆ポイント・クーポン訴求バナーの例
⑦ 定期購入訴求
定期購入は、ECサイトの中長期的な売上の安定につながるため、定期販売商品を扱っているECサイトでは、単品購入者に対して効果的な定期誘導を行うことが重要です。バナーには、定期購入により得られる以下のようなメリットを明記して、ユーザーに定期購入を促していきます。
・送料無料
・2回目以降もポイント2倍
定期購入のバナーは、トップページや商品ページのほか、購入完了ページ(単品購入)など、カートページ内に設置するのも効果的です。
◆定期購入訴求バナーの例
⑧ Amazon Pay・楽天ペイ訴求
大手ショッピングモールサイトのAmazonや楽天の利用者数は、2021年12月時点でAmazonが4,729万人、楽天が5,104万人(※)と、多くのユーザーが利用しております。そのため、ECサイトにおいて、Amazonや楽天のアカウントが利用できることを訴求することで、販売機会の増加につながります。
※出典:ECモール、2021年12月利用者数は、楽天がトップで、以降Amazon、Yahoo!、auが続く(eコマースコンバージョンラボ)
特に、ユーザーにとって初めてのECサイトでの購入に不安がある場合、Amazonや楽天といった普段自分が利用しているアカウントで購入ができることで、安心して買い物をすることができます。
⑨ 電話注文訴求
コールセンターや受付担当などのリソースが必要になりますが、高齢者向けの商品を扱うECサイトは電話注文もできる旨を訴求するバナーを設置しておくことで、機会損失リスクの低減につながるでしょう。
なお、電話注文により商品を購入したユーザーは、DMなどのオフラインマーケティングも有効な可能性があるので、積極的に実施してみましょう。
バナー作成の5つの注意点
注意点① デザイン性は二の次
ECサイトに設置するバナーを作成する際に最も気をつけなければいけない点は、デザイン性を意識しすぎて、可読性が下がってしまったり、伝えたいことがぼやけてしまい、本来のバナーの役目が失われてしまうことです。
ECサイトの世界観に合わせたデザインにすることも大切ではありますが、それにとらわれて、フォントが小さかったり背景色と同化して読みづらくなってしまっては、クリック率も大きく下がってしまいます。
ある程度のデザイン性を犠牲にしても、はっきりと読みやすく、短時間で頭に入ってきやすい文字数など、「伝えること」を最優先に意識したバナーデザインにするべきです。
注意点② ユーザーの心理に即する
例えば新商品や目玉商品などの商品訴求バナーで、商品名を記載しただけのバナーでは、ユーザーに興味を持ってもらいにくく、クリックしてもらえない可能性が高いでしょう。商品名を覚えてもらうために大きく記載したいところですが、それだけではユーザーにとってその商品が必要なのか不必要なのか分からないからです。
そのため、商品の特性や、ユーザーを取り巻く状況に応じて、以下のようにユーザーの心理に即した文言を記載して、ユーザーの興味を引くことが必要です。
◆コレステロールを下げる効果があるサプリメント商品を訴求
「コレステロールを下げたいと思っているあなたへ」
◆気温が下がってきた際に暖房器具を訴求
「寒くなる前に冬支度が必要です」
注意点③ デバイスごとの表示に注意する
バナーを作成する際は、PCやスマホなど複数のデバイスでの表示にも注意を払う必要があります。画面サイズによって自動的に改行されたり、比率が可変することがないため、PCでは可読性に問題がなくても、スマホで見ると小さすぎて読みにくかったり、逆に大きすぎて邪魔をしてしまうといったことのないように、必ず各デバイスで表示を確認することが必要です。
可能であれば、PC用のバナーとスマホ用のバナーを作成して、デバイスを判別して表示を分けるのが良いでしょう。
注意点④ 表示の頻度に注意する
ページが切り替わるごとに表示されるバナーは、頻度が多すぎるとユーザーには「うっとうしい広告バナー」としか見なされなくなってしまいます。表示頻度には注意し、ページ遷移後10数秒で表示する、非表示ボタンをクリックしたら次回アクセスまで表示しないなど、うるさくなりすぎない工夫が必要です。
また、固定で表示されるフローティングバナーも、ユーザーの邪魔になりやすい表示形式ですので、セール訴求や初回購入訴求など、ユーザーメリットが大きい内容に絞って表示するべきでしょう。
注意点⑤ 客観的な視点で評価する
バナーを作成したら、第三者に実際に確認してもらうなど、客観的な視点でバナーを評価してもらうべきです。実際に作成していると、文言やデザインを見続けているため、ぱっと見てどういう印象を持つか、自分では分かりづらいものです。完成したバナーは、それを初めて見る人に見てもらい、直感的な印象を聞いてみましょう。
また、可能であれば複数のパターンを用意してそれぞれを比較してもらえれば、より効果が期待できるバナーとしてブラッシュアップされるはずです。
バナーは宣伝ではなく「接客」
インターネット上でさまざまな広告があふれている中で、ユーザーの目は肥え、バナーというだけで反射的に拒否感を抱いてしまうユーザーも少なくはないでしょう。
たとえECサイト内のバナーとは言え、商品やサービスの宣伝としてアピールすることばかりにとらわれてしまうと、期待する効果を得られないばかりか、ユーザーの離脱を生み、逆効果になってしまうこともあります。バナーは、ユーザーが興味を持ったときに、見たいと思うページにスムーズに誘導する役割を持つ、いわば「接客ツール」と考えることが重要です。
そのため、ユーザーの心理に寄り添った文言を記載したり、押し付けがましくない最適なタイミングで表示するなど、「ユーザー目線」を第一に考えたバナー施策を行わなければいけません。そして、そのために常に効果検証を行い、データを分析しながら適宜見直しをして、効果の最大化を図っていくことが重要です。
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