卸業者などBtoB向けの商材を扱う企業では、電話やFAX受注を見直し、ECサイトの導入を検討しているのではないでしょうか?
BtoB向けのECサイトを導入する際の重要なポイントは、自社の業務フローに合わせたECを導入するのではなく、導入するECに業務フローを合わせることです。そうすることで、導入の初期費用が大きく抑えられ、最終的な費用対効果も高くなるからです。
本日は、forUSERS株式会社でマーケティングを担当している筆者が、BtoB向けのECサイトを導入するための7つのポイントを解説します。
BtoB向けECサイトの利用は進んでいる
以下をご覧ください。BtoBにおける国内のEC市場規模とEC化率の推移のグラフです。
◆国内のBtoB-EC市場規模とEC化率(推計)
EC市場規模 | EC化率 | |
2017年 | 318兆1,610億円 | 29.4% |
2018年 | 344兆2,300億円 | 30.2% |
2019年 | 352兆9,620億円 | 31.7% |
2020年 | 334兆9,106億円 | 33.5% |
2021年 | 372兆7,073億円 | 35.6% |
出典:経済産業省「令和3年度電子商取引に関する市場調査報告書」(2022年8月発表)をもとに筆者作成
2020年においては、コロナ禍の影響によりECの市場規模が下がったものの、ECの利用率を示すEC化率は堅調に伸び2021年は35.6%となっており、実は8.78%のBtoC業界よりもEC化率は高いのです。
この要因として、DX(デジタルトランスフォーメーション)に対する危機感や、あるいは各ECベンダーにおいてBtoB向けのECサイトが普及してきたことがあります。それでは、これからBtoB向けのECサイトを導入する小規模事業者はどのようなことに気を付ければよいのでしょうか?7つのポイントに分けて解説します。
小規模事業者がBtoB向けECサイトを導入するための7つのポイント
それでは、重要度の高いポイントから順に解説します。
ポイント① 最初から数千万円するECシステムを構築しようとしない
筆者の経験ですが、あるBtoB向けの企業で、社長の構想を実現させるための独自の機能を実装するECシステムを作ろうと、5,000万円の費用と1年の期間をかけたケースがありました。しかし、出来上がったECサイトは社内外での利用が進まず、結局3年後に作り直しとなりました。
このことから、初めてBtoB向けのECサイトを作ろうする場合は「小さく」「早く」構築することがポイントとなります。
なぜなら通常のBtoCのECサイトと違い、BtoBには企業や業界ごとに独自の機能要件や業務フローが存在します。また、BtoBの場合、利用するのは企業担当者であり、ECサイトに求められる機能がBtoCとは異なります。例えば、BtoBサイトでは「見積作成」や「注文書」の自動生成機能などが必要になります。
そのため、安くてすぐに導入できるASPのECサイトを導入して、そこで見えてきた不足点や課題をしっかり把握した上で、BtoBサイトを構築すべきなのです。
ポイント② 自社の業務フローに合わせようとするのではなく、ECシステムに業務フローを合わせる
BtoB事業者には自社独自の業務フローが存在します。しかし、その業務フローに合わせてECを導入しようとすると、大規模なシステム開発が必要となるため、ECサイトの導入に何千万円以上の費用がかかります。
しかし、ECサイトの基本機能に業務フローを合わせることで、コストを抑えて導入することができます。例えば、見積書などのフォーマットを自社独自のフォーマットにこだわるのではなく、BtoB向けのECサイトに付属するものを利用することで、見積書生成システムを改修する必要がないので、システム導入費用が安く済むのです。
ポイント③ 全ての受発注をECシステムで行おうとしない
BtoBのECサイトを利用するのは、得意先やパートナー企業です。その中にはシステムの導入に難色を示す企業が存在することもあるでしょう。例えば先方企業が受発注にECサイトを使うことに抵抗を感じるケースです。
まずは、1社1社丁寧にECサイトの利用を促していきますが、企業間の関係上、無理にECサイトの利用をすすめることができないケースもありますので、そのような会社とのやり取りには、従来の電話やFAXの受発注の方法を残しておきましょう。また、BtoB専用のECシステムによっては、相手先が電話やFAX注文であってもシステムに取り込めるようになっているサービスもあるので、上手く活用しましょう。
ポイント④ 社内でのECサイトの利用を徹底すること
先ほど、得意先やパートナー企業には従来の注文方法を残すことをすすめましたが、社内は別です。社内においてはECサイトの利用を徹底させないと、せっかく投資したシステムが無駄になってしまいます。
特に勤続年数の長い社員やシニア社員は、従来の方法を好むことが多くあり、筆者も昔、BtoB向けのECサイトをサーバ販売の部門に導入する仕事をしていたのですが、システムを導入したい経営陣やマネージャーに対し、現場の社員からは多くの反発がありました。
導入にあたり、繰り返し説明会を開いたり、あるいは導入したエンジニアが進んでECサイトの利用をするなどして、ようやくECサイトの利用が進みました。ECサイトに限った話ではありませんが、新システムを導入して利用を促すのは大変なことで、また経営者の強いリーダーシップも求められるものなのです。
ポイント⑤ ECシステム導入前に、業務フローチャートを作成する
小規模事業者であれば、業務フローが社員の間で口頭で伝えられ、マニュアルや資料がないことがほとんどです。
ECサイトを導入する際に、「このシステムで良いのか?悪いのか?」ということがなかなか判別できないのも、業務フローのチャートがないためです。まず、ECサイトを導入することになったら、カンタンなものでも良いですし、手書きのものでもかまいませんので、業務フローチャートを作成しましょう。
業務フローチャートを作るポイントは、チャートにおいては必ず全ての業務フローを網羅することです。そうしないと、システムを導入してから、ECサイトに対応できないケースが出てきてしまうからです。
ECサイト導入後にそのようにならないためにも、業務フローを網羅しておきましょう。
ポイント⑥ ECサイト導入前に、業務フローを整理する
ポイント⑤で説明した「業務フローチャート」が完成したら、一度ベテラン社員を交えて、以下の観点で業務フローをチェックしましょう。
◆業務フローの確認
・削減できる業務フローがあるのではないか?
・ECサイトを導入しなくても効率化できるのではないか?
つまり、ECサイトを導入する前に業務フローの見直しを行い、よりシンプルで効率的な業務フローに改善します。それを実施してからECサイトを導入した方がより効率的になるからです。
ポイント⑦ BtoC向けにもECサイトを作る
部品の卸メーカーがBtoC向けにもECサイトを作ったところ、個人ユーザーからの注文が入ったり、あるいは遠方の企業からの注文が入り、新規取引先の開拓につながった話を聞いたことがあります。
BtoB向けの商材を販売している事業者は、取引先以外が自社の製品に興味があるとは思わないかもしれませんが、ECサイトは世界中に商品を発売することができます。日本語のサイトにもかかわらず、海外から問い合わせがあったという例もあるので、取引先向けのクローズドECサイトとともに、誰でも見られるECサイトを設置するのも新規顧客獲得に役立つケースがあります。
まとめ
BtoBのECサイトの導入は、独自の業務フローに合わせず、ECサイトに自社の業務フローを合わせることがポイントとなります。
仮に、BtoBで将来的にシステム連携などカスタマイズが可能な数千万円のECシステムを導入するとしても、まずは月額数万円のECシステムを導入してからにした方が、ECシステムの不足点や課題を把握することができ、費用対効果が高くなります。
そのようなシステムを導入する際は、インターファクトリーのebisumart zero(エビスマート ゼロ)をぜひご検討ください。将来的なシステムのカスタマイズや外部システムとの連携が可能ですので、スモールスタートからのBtoB-ECの構築にも適しています。
詳しくは、下記の公式サイトから詳細をご確認ください。