ECサイトの売上を上げるために、EC専門のコンサルを探しているのではないでしょうか?ECコンサル会社は、検索してみると多数検索結果にヒットしますが、そこから、問い合わせたコンサル会社に仕事を依頼すべきかどうかを考えているのではないでしょうか?
本日は、コンサル選びに失敗しないための「避けておきたい5つのコンサル事例」を紹介します。この5つの事例を把握した上でコンサル会社を探せば、大きな失敗は避けられるかもしれません。
なぜなら、これから紹介する5つの事例は、筆者の15年にわたって培われたインターネット業界およびEC業界の経験による実際の体験をベースにしているものだからです。
本日はforUSERS株式会社でコンサルタントを実施している筆者が、ECコンサルについて詳しく解説します。
避けておきたい!5つのECコンサル事例
それでは、筆者の実際の経験をもとに、こんなECコンサルは避けておくべき!という5つのECコンサル事例について解説していきます。
◆避けておきたい5つのコンサル事例
- 事例① 「いったん社内で確認します!」ばかりの経験不足のコンサル
- 事例② 自社のマニュアルや過去の成功事例へのこだわりが強すぎる
- 事例③ コンサルが忙しすぎて連絡がほとんど来ない
- 事例④ 専門分野に偏りがあるのに「何でもできる」と見せるECコンサル
- 事例⑤ 結果が出ない(ECの売上が上がらない)
事例① 「いったん社内で確認します!」ばかりの経験不足のコンサル
契約前のプレゼンやコンペには経験豊富なECコンサルが打ち合わせに出席しますが、契約成立後となると、「経験不足」あるいは「新人」のECコンサルが自社担当としてアサインされることがあります。もちろん、ECの売上や業務効率化に貢献できるのなら、それでも問題はありません。
しかし、経験不足のコンサルではECサイトで売上を伸ばすための経験やノウハウが不足していたり、あるいは十分とは言えない研修を受けたコンサルは、こちらから何か尋ねると「社内で確認します!」という返答ばかりになってしまうことが多い印象です。
この「社内で確認します!」の大きな問題点は、施策を実施するスピード感が落ちてしまうこと、また、クライアント側のコンサルへの信頼感が落ちてしまうことです。
こうならないためにも、契約前の打ち合わせの際には、実際の担当者を紹介してもらいましょう。そして担当者に以下のような質問をして、満足のいく回答が得られるか、確認してみてください。
◆ECコンサルを見分けるための質問
「過去に一番失敗した事例と、一番成功した事例を教えてください」
「弊社のECと似たような事業者で、売上を増やしたことはありますか?」
ただし、新卒や経験の浅いスタッフがアサインされるのは、依頼する側の問題がある場合もあります。
例えば、予算が少ないにもかかわらず、厳しい契約条件をつけるような場合です。予算が少ない場合は、依頼する側の「コンサルをチームとして迎え入れる」という姿勢も大切になるのです。
なぜなら、コンサル側も予算だけで気合が入るわけではありません。クライアントの姿勢や人間性によっても成果が大きく変わります。「このクライアントのためだったらがんばってみよう!」と思ってもらえる雰囲気作りも依頼側の重要なスキルの一つと言えるのです。
事例② 自社のマニュアルや過去の成功事例へのこだわりが強すぎる
もし、ECのコンサルタントサービスを受けて、その指示通りにECサイトに施策を実施した場合においても、効果が出ない場合は施策を検証する必要があります。
しかし、このようなケースにおいて、現実で起こっていることを直視せずに、下記のような発言をしてしまうECコンサルは要注意です。
◆ECコンサルの発言例
といったように、自社のノウハウや過去の事例に固執するコンサルも多数おります。クライアント側としては「なぜ成果が出ないのか?」納得のいくデータや仮説が欲しいのですが、特に根拠もなく、結果の出ない施策を続けられるケースは非常に困ります。
このような事態に陥る原因は「自社のマニュアルや成功事例に固執」しているからです。ビジネスの場というのは常に変化が起きるので、目の前の変化に対応しながら、データやユーザー視点での仮説を立てたり、代替案を提案したりすることが必要となります。
そのような事態になれば、通常はそのコンサル会社の上司が出てきて、施策の見直しに入りますが、依頼したコンサルが会社所属ではなくフリーランスの場合は、契約解除も視野に入れなくてはなりません。
このようなコンサルを事前に見分けるためにも、契約前の打ち合わせで以下の質問をしてみましょう。
◆ECコンサルを見分けるための質問
事例③ コンサルが忙しすぎて連絡がほとんど来ない
ECのコンサル会社のタイプは大きく分けて4つです。
タイプ②:担当コンサルが手厚くコンサル(予算がある程度ある事業者向け)
タイプ③:一人のコンサルが数社~数十社を担当(予算が少ない事業者向け)
タイプ④:フリーランスのコンサル
このうち、③と④のタイプに多いのが、コンサルが担当するクライアントが多すぎて、なかなか連絡が来ないケースです。このようなケースでは、何度も質問したり、時にはコンサルの上司に問い合わせるなど強い態度を取らないといけません。
ECサイトの運営というのは「生もの」に例えることができます。商品にもよりますが、ECで販売する商品には「ここぞ!」という旬のタイミングが存在します。そのタイミングに合わせて施策を実行できないということは売上を伸ばすことにつながらないのです。
このケースにあたって、改善がなされない場合は担当者を変えてもらったり、あるいはコンサル会社そのものを見直すしかありません。
このようなECコンサルを見分ける方法としては、シンプルですが下記の質問が有効となります。
◆ECコンサルを見分けるための質問
このように事前に聞いておくことで、言質を取ることができますし、言った言わないになるのを避けるのでしたら、契約前にこのような内容のメールで送付して、相手から合意を取り付けておけば良いのです。
また、あくまで筆者の経験ですが、ECコンサルが携帯電話の番号を教えてくれないケースも要注意です。
と言われる場合は、連絡がなかなかつかない可能性があります。コンサル会社側も多くのクライアントがいるため業務効率を上げるための指示によって、各コンサルにこのような発言をさせているケースです。
もちろん現代においては電話をいきなりかけるのは先方の時間を奪っているという議論もありますが、コンサル業において、クライアントが緊急を要する場合であったり、電話でのコミュニケーションが必要な場合がどうしても発生します。
それにもかかわらず電話番号を教えてくれないケースは、このパターンのコンサル事例の可能性が高いでしょう。
事例④ 専門分野に偏りがあるのに「何でもできる」と見せるECコンサル
ECコンサルと言ってもひとまとめにできるものではありません。そのECコンサルに求められる事業領域は非常に広くなります。具体的には下記の5つの分野にわたります。
◆ECコンサルの5つの領域
②制作・デザイン
③システム
④運用
⑤物流
全ての領域に通じている凄腕のECコンサルは実在しますが、多くはありません。例えば、筆者もECコンサルを行っていますが、専門分野が①のみであるため②~⑤が強いとは言えません。しかし、全ての領域に強い必要はなく、例えば①に強いECコンサルであれば、提案の際に、
このようにECコンサル自身が、弱みを把握した上でチームを作れるネットワークがあれば問題ありません。そして多くのコンサル会社であれば①~⑤の領域に通じたチームを作ることできます。
問題なのは、コンサルティング領域において偏りがあるのに、何でもできる「総合ECコンサル」を装うタイプです。本当はマーケティング領域しか詳しくないのに、システムも運用も物流もできるように見せかけて、クライアントが勘違いしてしまってはEC事業自体が上手く行きません。
ECというのは、マーケティングだけできても売れるわけではありません。
例えば、集客ができて一気にサイトに人が集まっても、システムが悪ければ注文は増えません。仮に注文が一時的に増えても、物流コストがかかれば商品の単価が高くて、リピーターがつかず売れにくくなります。
このようなECコンサルを見分けるためには、以下のような質問が当たり前ですが非常に重要です。
◆ECコンサルを見分けるための質問
事例⑤ 結果が出ない(ECの売上が上がらない)
事例①~④に該当するECコンサルでは、結果を出すことは当然できません。そのためECサイトの売上を伸ばすこともできないのです。
どんなに自社とコンサルの相性が良いと思っても、そもそも売上が上がらなければ、ECサイトのコンサルを受けている意味がありません。依頼すべきECコンサルは、ECサイトの基本、つまり下記の5つのポイントをしっかり意識しているコンサルです。
◆ECサイトで重要なこと
②初回購入を促す強い意識
③リピーター施策
④マーケティング、制作、システム、運用、物流などEC全体に目を配っている
⑤商品へのこだわり
この5つの意識を持っているかどうかが重要となるのです。
そして、特に重要なことは「⑤商品へのこだわり」です。世の中にはMAツールやCRM活動などがありますが、そもそも商品が突出したものであれば、それらが必要ないほど良く売れるはずです。
また、特に施策を実行しなくとも、本当に良い商品には「口コミ」や「リピーター」が自然と生まれて、商品も売れるようになるからです。口先やテクニックだけではなく、本質的なことが一番大切なのです。
コンサルとのワンチーム体制が重要
以上の通り、ECコンサルに依頼する際に、避けておきたい5つの事例を紹介しましたが、たとえ上記の5つの事例のコンサルを避けることができても、依頼する側がコンサルに丸投げしてしまっては、結局上手くいくことはないでしょう。
コンサルが全てをやってくれるわけではありません。提示された施策を形にするのは依頼者、つまりあなたです。
依頼者も当事者意識をもってサイトを管理し、コンサルから依頼のあった施策を速やかに実行することで、コンサルも次の手を打ちやすくなります。そのようにしてコンサルと依頼者がワンチームの体制を作って一つの目標に向かっていくことが重要なのです。
そしてもう一つ、自社の利益だけでなく、そのコンサル会社の利益も考えながら進めていくことも大切です。ギブアンドテイクの関係を保ちながら案件に臨むことで、双方のモチベーションを高め、より売上アップという成功に近づけるはずです。