実店舗をお持ちの経営者の方は、ECサイトと実店舗の連携を行い、自社の売上を最大化するためのマーケティング戦略を模索しているのではないでしょうか?
ECサイトと実店舗の代表的な連携方法としては7つあります。この7つの方法は国内大手事業者が実践している方法でもあるので、あなたの会社にも役に立つ連携方法があるはずです。
本日は、forUSERS株式会社でマーケティングを実施している筆者が、ECサイトと実店舗を連携するための7つのマーケティング戦略について詳しく解説いたします。
ECサイトと店舗の両方を利用するユーザーのLTVが最も高い!
まずは、ユニクロの調査結果をご覧ください。
◆ユニクロ(国内)の購入チャネル別の平均購入単価と平均購入回数(年間、2019年8月期報告)
引用:2019年8月期 期末決算説明会資料「ECを本業に。」(株式会社ファーストリテイリング)より筆者作成
この表を見ると、ECサイトと店舗の両方を利用するユーザーが最もLTVが高いことが分かります。そのためアパレル各社は、ECサイトと店舗の連携施策に力を入れております。
ECと実店舗の7つの連携方法
方法① ECサイトで注文した商品を店舗で受け取る
ECサイトで注文した商品の受取先を、ユーザーが指定する店舗にする方法です。この方法の最大のメリットは、店舗に商品を受け取りに訪れたユーザーは、ついで買い(クロスセル)をする可能性が非常に高い点です。そのため、ECサイトと店舗の連携方法として、最も有効な施策と言えます。
そして、この方法は送料を無料にできる点も大きいです。ユーザーにとって商品代金以外にコストがかかるのは、非常にネガティブなことです。また、Amazonプライムが浸透したことにより送料無料という考え方が一般的になりつつあります。店舗を受取先にすれば、倉庫から店舗への物流を利用することで、送料無料を実現することができます。
ただしこの方法は、全国に多数の店舗がある事業者に限られます。店舗数が全国に1,000以上あるような事業者でなければ、ユーザーの利用率も上がりません。しかし店舗数が少ない事業者においても、実施する価値はあると筆者は考えます。その理由は、自社のファンを育成することにつながるからです。店舗を中心とした商圏において、ECサイトと店舗の両方を利用してくれるようなファンであれば、きっとさらにユーザーを連れてきてくれるはずです。ですから店舗数が少ない事業者においても価値がある施策と言えるのです。
方法② ECサイトの返品を店舗で対応する
アパレル事業においては、ユーザーがECサイトで選んだ商品のサイズが合わなかったり、ECサイトで商品を検討したときと実際に届いた商品のイメージが異なったりする場合がよくあります。ECサイトでは、商品を実際に手に取って確認できない点が大きなデメリットだからです。アパレル事業であれば、返品はある程度仕方ない部分があります。
ただ、ECサイトの返品は、ユーザーにとっても、返品される事業者にとっても非常に手間となります。ユーザーの中には返品したくても、発送の手間を考えて諦めるユーザーや、あるいはメルカリなどのフリマアプリの方が使い慣れているため、自分で再販するユーザーも多いのです。そういった手間が、次回以降のECサイトの利用を遠ざけてしまう一因にもなり得ます。
しかし、店舗でECサイトで購入した商品の返品受付を可能にすれば、ユーザーも手間が少なく、またサイズや色の変更も可能です。そして何より返品はお互いにとってネガティブな行為なのですが、ユーザーも店舗スタッフと直接コミュニケーションを取れるので、店舗での返品対応がスムーズであれば、再度注文しやすくなったり、ブランドを好きになってくれたりする大きなメリットがあるのです。
方法③ 店舗でECサイト限定商品を告知する
店舗にはない「ECサイト限定商品」を店舗で告知する方法です。例えば、以下のようなものです。
◆ECサイト限定商品の例
・ECサイト限定サイズ(大きいサイズなど)
・昨年モデル
このような商品をECサイト限定とすることで、ECサイトを利用したことがないユーザーにECサイトの使用を促します。ECサイトにおいては「初回購入」が最も重要です。なぜならユーザーが一度でも商品を注文し、自宅に届いた経験があれば、ユーザーは再度商品を注文する可能性が高まるからです。
しかし、一度もECサイトを利用していなければ、何も生まれません。このようなことから初回購入を促すことは、ECサイト運営で最も重要なことなのです。そのためにECサイト限定商品を店舗で訴求することは、ECサイトと店舗の両方を利用するユーザーを増やす方法として有効なのです。
方法④ 店舗でECサイト(アプリ)の会員登録訴求
店舗において、「ECサイト(アプリ)」への会員登録訴求をします。例えば店舗で商品を購入する際に、「会員登録で500円引き」とスタッフが案内すれば、多くの店舗利用者が会員登録をするので、一気にECサイトの会員を増やすことができます。
ただし、この方法のデメリットは、クーポン目当ての会員登録が増えたとしても、ECサイトを実際に利用してくれるアクティブユーザーが増えるわけではありませんので、会員登録後、一度でも商品を購入してもらえるように目玉商品をメルマガやアプリの通知で訴求するなど、ECサイトの初回購入への導線を強化する必要があります。
方法⑤ 店舗に在庫がないときにECサイトへ誘導
店舗で、ユーザーから在庫確認をお願いされたときに、バックオフィスの商品管理画面で在庫を確認するのではなく、タブレットなどを使ってECサイトの在庫をユーザーの目の前で確認するようにします。在庫がECサイト(倉庫)にある場合は、タブレットでユーザーの個人情報の入力を依頼し、その場でECサイトでの購入を実施してもらいます。つまりスタッフは、ユーザーのECサイトの代理入力(個人情報部分はユーザーに依頼)をするイメージです。
このような方法で在庫確認をきっかけに、ユーザーにECサイトでの初回購入を促します。ただし、このケースはたしかにユーザーは初回購入することができますが、ユーザーにとってみると「スタッフが注文してくれた」という感覚が強く、ユーザー自身がECサイトで購入したという意識が低くなります。
繰り返し購入をしてもらうためにも、メルマガやアプリの通知等で、目玉商品やセール商品の訴求を行い、ユーザー自身で購入させる工夫を行うべきです。
方法⑥ ECサイトから店舗の在庫を確認する
ユニクロやナイキなどのECサイトでは、ECサイトから、各店舗の商品の在庫を確認することができます。以下は筆者が実際にユニクロのアプリから、近隣店舗の在庫確認を行った画面です。
◆ユニクロのアプリで在庫確認を行った例
画像引用:ユニクロアプリ
さらにナイキでは、このような仕組みから商品の取り置きを48時間まで行ってくれます。
ユーザーはあらかじめECサイトで近隣店舗の在庫を確認してから店舗に行くことで、すぐに人気商品を手に入れることができるのです。事業者から見ると、ECサイトを使った、店舗への誘導施策の一つとなります。
方法⑦店舗の商品の口コミをECサイトで調べる
店舗にある商品を購入するか迷っているときに、商品バーコード(あるいはQRコード)を読み取ってECサイトにアクセスし、そこで口コミを見て購入の決め手としてもらう戦略です。また、アパレルの場合は、手元に商品があるとはいえ、ECサイトの採寸情報を参考にして、自分に合うサイズかどうかを判断してもらう手掛かりとします。
このような方法は、ヨドバシカメラやユニクロなどの、国内EC大手企業で実践されている方法です。
まとめ:ECの利用を進めよう
2022年8月に経済産業省から発表された、最新の国内BtoCのEC化率は8.78%です。しかし、アパレル大手のEC化率は20~30%にも届く勢いであり、特にEC事業が好調な企業では、店舗とECサイトの連携が非常に進んでおります。なぜなら、本日解説した7つの連携を実施することで、売上を最大化しているからです。
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