ECサイト担当者なら絶対に知るべき!4種類のECサイト

これからEC事業に挑戦する方は、まず選択肢を整理するために「ECの種類はどれくらいあるのだろうか?」と全体像を把握しようとしているのではないでしょうか?

まずECの種類として以下の4つが挙げられます。

①自社ECサイト
②ショッピングモール
③フリマサイト(CtoC)
④社内販売サイト(および職域販売サイト)

いずれも「商品を販売する」という同じ目的を持ったECサイトですが、それぞれ運用の仕方や売上を上げるための方法が異なります。

本日はforUSERS株式会社でマーケティングを担当している筆者が、ECの種類について解説します。

①自社ECサイト

自社ECサイトとは、例えばユニクロや、ヨドバシカメラ、セシールなど、自社で運営するECサイトのことです。対比されるECサイトとしては、楽天市場、Amazonなどのショッピングモールがありますが、自社ECサイトは自社でECサイトの構築・導入から運用を行う、自社専用のECサイトになります。

自社ECサイトの作り方は、大きく分けて以下の3通りです。

①ASPの導入
②パッケージの導入
③フルスクラッチで構築

一般的にこの作り方が良いということはなく、自社の事業規模によって選択します。小規模事業者の多くは「①ASPの導入」を選択することが多いです。なぜならコストが安く、導入もすぐに行うことができるからです。年商が1億円を超えてくると「②パッケージの導入」や、「③フルスクラッチで構築」を検討します。

自社の基幹システムや在庫管理システムなどと連携する際には、パッケージやフルスクラッチのECシステムが必要となります。この中大規模向けのECサイト構築方法は、10年ほど前まではフルスクラッチが主流でしたが、ECソリューションの進化により、ASPやパッケージの機能性、カスタマイズ性が高まりフルスクラッチを採用する企業は一部の大手企業に限られるようになりました。

自社ECサイトのデメリット:集客を自社で行う必要がある

自社ECサイトのデメリットは、自社でECサイトへの集客をしなくてはいけない点です。楽天市場やAmazonのようなショッピングモールに出店(あるいは出品)すれば、認知度も高く、モール側でキャンペーンや特集などのプロモーションを実施してくれるので、自社店舗(あるいは自社商品)へ多くの集客が可能です。

しかし、ブランド力がまだ強くはない企業が自社ECサイトを構築した場合、自社で集客やプロモーションを行って、認知度を高めていく必要があります

自社ECサイトへの集客方法として、SEO (Search Engine Optimization)やSNSが代表的ですが、いずれも短期的施策ではないため、効果が出るまで時間がかかるのがデメリットです。また、ノウハウがないと成功させることは難しいと言えます。

自社ECサイトのメリット:自社で管理しやすい

自社ECサイトは、コストコントロールや集客、およびブランディングなど、自社でコントロールしやすいことがメリットです。例えばブランディングにおいても、楽天市場やAmazonの場合、デザインや表現に制限(掲載ルール等)(※)があります。そのため、モール内で自社の個性を出していくのが難しく、他店との差別化が図りづらいのです。

※プランによって制限は異なります。

しかし、自社ECサイトにはそのような制限はないため、デザインから集客まで自由に行うことができるので、ブランドの世界観を創出することができます。ただ、自社ECサイトの方が楽天市場やAmazonと比べてランニングコストが安いという意見がありますが、自社ECサイトにおいても広告などのプロモーションを行うことを考えると、そこまでランニングコストが安いというわけではありません

自社ECサイトの方が「コストコントロール」がしやすいというのが正しい表現となります。

②ショッピングモール

ショッピングモールとは、以下のようなサイトのことを指します。

◆国内の代表的なショッピングモールサイト

・楽天市場
・Amazon
・Yahoo!ショッピング
・ZOZOTOWN

特徴は、ショッピングモール自体が商品を販売するのではなく(※)、事業者が場所を借りて出店(出品)し、商品を販売するビジネスモデルであることです。

※一部例外があります。

さらに、ショッピングモールには2つのタイプがあります。

タイプ①出店型(楽天市場やYahoo!ショッピング)

出店型とは、ショッピングモールにお店を持つイメージです。以下をご覧ください。

楽天市場店舗ページ

画像引用:楽天市場

このように、特定の商品だけでなく「ショップ」を楽天市場内に設置できるのです。つまり、次に解説する出品型に比べて、お店の世界観をアピールしたり、ブランディングをしやすいというメリットがあります

ただし、お店のブランディングができるというメリットがある反面、お店を楽天市場内に用意するための情報や素材が必要になるので、出品型に比べると開設までに時間や手間がかかるというデメリットがあります

タイプ②出品型(Amazon)

出品型とは、お店ではなく「商品」のみを出品するタイプのショッピングモールのことです。以下をご覧ください。

Amazon商品ページ

このように商品が中心に扱われるため、ショップ名はあまり目立ちません

Amazonショップ名

そして、Amazonでは同じ商品を複数の企業が出品している場合、商品ページに露出されるのは1社のみです。他の企業は以下のように、小さく表示されるだけです。この取り上げられる1社のことを、業界では「カートを取る」といいます。

Amazonカート取れなかった場合

画像引用:Amazon

そのため、Amazonでは「カートを取る」ことが重要になってきます。カートを取るための方法としては、以下があります。

◆Amazonでカートを取る方法

・最安値(もしくは最安値に近い)の価格設定
・大口商品プランに加入する
・フルフィルメント by Amazon(FBA)に加入する
・在庫がある

ただ、当然ライバル店舗もこれらの条件を満たしているので、Amazon独自の採点により、最も商品が売れる可能性の高い事業者の商品がカートを取ることになります。独自商品を扱う場合は、Amazon内にライバルが存在しないので良いのですが、独自商品ではない場合は「カートを取る」ことを念頭に置いて考えなければいけません

③フリマサイト(CtoC)

CtoCのフリマサイトとは、以下のようなサイトを指します。

◆CtoCのフリマサイトの例

・メルカリ
・ヤフオク!
・ラクマ

これらはフリマサイトと呼ばれ、一般消費者が出店し、他の消費者に販売するビジネスモデルです。個人向けですが、多くの事業者も出店しており、メルカリでは事業者向けの「メルカリShops」があります。手数料は10%なので高く感じるかもしれませんが、メルカリには強い集客力があるので、採算を考えた上で出品ができれば売上を上げやすいプラットフォームと言えます

◆メルカリShops

メルカリShops

画像引用:メルカリ

フリマサイトは良くも悪くも個人売買が中心のサイトなので、トラブルが発生しやすい点にも注意しなければいけません

これからECサイトの開設を考えている方であれば、まずはフリマサイトから始めるというのも悪くはありません。なぜなら、すぐに出店ができて、しかも商品出品から配送までの手順はECサイトそのものなので、ECに興味がある方が、ノウハウ習得のためにフリマサイトを始めてみるのも良いでしょう。

④社内販売サイト(および職域販売サイト)

社内販売サイトとは、社員専用の非公開ECサイトを作り、社員にIDとパスワードを発行してログインしてもらい、自社商品を特別価格で販売するためのサイトです。

◆社内販売サイトに必要な機能

・ログイン方式の非公開サイト
・特別価格の提示

職域販売サイト

また、社内販売に近いビジネスモデルで「職域販売」というものがあります。

◆職域販売の例

・執務室の中でヤクルトレディから飲料水を購入する
・オフィスに置いてあるグリコのお菓子を貯金箱に硬貨を入れて購入する
・会社の食堂や休憩室に定期的に来ている保険のセールスパーソンから保険の契約を行う

職域販売ヤクルト

画像引用:オフィスでヤクルト

職域販売グリコ

画像引用:オフィスグリコ

つまり、他社が自社の従業員に向けて商品を販売するビジネスモデルのことです。そして職域販売サイトとは、会社の福利厚生の一環として、他社商品を従業員限定として販売するためのサイトです。具体的にはベネフィット・ワンのような、従業員満足度を高めるための職域サイトが有名です。

マルチドメインで売上を最大化する

マルチドメインとは、例えば、以下のように「自社ECサイト」「Amazon」「楽天市場」などと複数のECサイトを同時に運営することです。最大のメリットはそれぞれのチャネルで売上を最大化することができる点です。

例えば、筆者はAmazonをメインに利用しており、普段は楽天市場を使うことはありません。しかし筆者と反対に、楽天市場をメインに利用しているユーザーもいることでしょう。つまり、売上を最大化するなら、自社ECサイトとともに複数のサイトを運営する方が、より多くのユーザーに自社の商品を届けることができるのです

◆マルチドメインのイメージ

マルチドメイン

ただし、マルチドメインを実施する場合は、在庫連携を念頭に置いて考えなくてはいけません。

◆マルチドメインでよくある問題

・在庫の引き当てが間に合わず、在庫がないのに注文を受け付けてしまった
・それぞれのチャネルで在庫を分けて管理したら、特定のチャネルで在庫切れとなり機会損失が発生した

このような問題を解決するために、以下のようにそれぞれのチャネルをつないで、各ショップの在庫連携を行うシステムを導入する必要があるのです。

◆ 在庫連携のイメージ

※在庫を連携すると、1つのチャネルから在庫が減った場合、全てのチャネルに最新の在庫状況が反映されます。

在庫管理システム

これからECサイトを構築するなら

ここまで解説した通り、ECにはさまざまな種類があります。

比較的手軽にECサイトを開設するなら、ショッピングモールに出店(出品)するのが、最も時間と手間がかかりませんが、まずは小規模の自社ECサイトを開設するのも一つの手でしょう。最初は集客に苦労する面もありますが、長期的に見た場合、自社のECサイトを育て上げる方が最も利益率が高いことは言うまでもありません。

そしてECサイト運用の実績を積んで、在庫管理なども自社内でシステム化できるようになれば、マルチドメイン化して販売チャネルを増やし売上の最大化を実現することができるはずです。

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詳しい機能などについては公式ホームページをご覧ください。

ebisumart zero公式ホームページ

また、特に初心者の方は、前述したようにフリマサイトから始めてみるのも良いでしょう。そこでECサイトの基本的なノウハウを身に付けてから、ショッピングモールや自社ECサイト構築のフェーズに進んでいく方法がおすすめです。