EDIとは「Electronic Data Interchange」の頭文字をとった略称で、日本語にすると企業間の「電子的データ交換」という意味です。もっと端的に言うと、従来FAXや電話で行われていた企業間の受発注を電子化、自動化する仕組みのことであり、業務効率化において大きなメリットがあります。
受発注システムを導入する場合、
・Web-EDI
・BtoB向けECサイト
という選択肢がありますが、それぞれにメリットやデメリットがあり、自社における取引の状況に応じて選択する必要があります。なぜなら、例えばEDIは自社が導入していても、取引先が未導入であれば全く意味のないシステムになってしまうからです。
今回は、forUSERS株式会社でコンサルを実施している筆者が、特にEDIについて詳しく解説いたします。
EDIとは?
EDIを理解するには、従来の電話やメール、FAXを使った受発注の仕組みと比較するのが一番です。下図をご覧ください。
◆電話やメール、FAXによる受発注
電話やメール、FAXによる取引の場合、その都度、
・納品書
・請求書
などのやり取りを、基本的に手入力や紙ベースで行う必要がありました。この方式だと時間もコストもかかりますし、また入力ミスや紛失などのヒューマンエラーも発生することがあります。しかし、EDIを導入することで、この受発注が完全に自動化されます。
◆EDIによる受発注
EDIとは、このように受発注を自動化するシステムのことを指します。聞きなじみがないかもしれませんが、BtoBでは多く使われているシステムです。
EDIは、受発注業務がシステムで自動化されることで多くのメリットがありますが、その反面デメリットもあります。以下では、EDIのメリットとデメリットを詳しく解説します。
EDIの3つのメリット
メリット①業務効率化
まず、EDIの一番のメリットは、従来のFAXや電話による受発注よりも格段に業務効率が上がる点です。発注者と受注者は同じシステムを使うので、発注者は注文の際、カンタンな入力だけで注文を行うことができ、
・納品書
・請求書
までシステムが自動的に発行してくれます。これにより今まで手作業で行ってきた業務自体がなくなるため、業務時間が圧倒的に削減でき、生産性が大幅に向上します。また、ペーパーレス化の推進、郵送などにかかるコスト削減も実現できます。
メリット②内部統制が取りやすい
受発注を電子データ化するため、社内での情報共有がしやすくなります。また、過去にどのような取引があったのかを把握する際も、紙よりも格段に管理しやすい特徴があるのです。
ただ、電子データといっても、EOS(Electronic Ordering System:受発注データの送受信)によるEDIでは、出荷データ、伝票データ、請求データなどの管理ができませんので、昨今主流のWeb-EDIや流通BMSによるEDIを導入し、内部統制を強化していくべきでしょう。
メリット③ヒューマンエラーの削減
主要取引先との受発注業務において、ヒューマンエラーが発生すると手戻りや取引先対応に追われて、非常に作業効率が悪くなります。ヒューマンエラーが少ないという会社も、中長期的スパンで考えると、電話、メール、FAXの受発注では、社員の入れ替わりタイミングや取引先とのミスコミュニケーションなど、ヒューマンエラーをなくすことは難しいでしょう。
しかし、EDIを導入して受発注データを電子化することで、ヒューマンエラーを劇的に削減し、業務効率を上げることができます。EDI側で入力規則を設けたり、上司の承認フローを入れるなどすれば、さらにヒューマンエラーを減らすことができます。また、EDIのシステムによっては注文の上限数を設定することで、入力ミスを減らすシステムにすることもできます。
EDIの3つのデメリット
デメリット①取引先主導となり、事業者は複数のEDIを使うこともある
EDIの導入は、買い手である取引先が業務効率化のために導入することが多く、売り手である事業者は取引先が指定するEDIを導入せざるを得ないケースが多々あります。事業者側からすると、取引先は複数社あるため、取引先ごとにEDIを導入することは、全体で見ると利用するシステムを増やすことにつながり大きな負担となります。
このため、EDIの導入においては、業界全体で標準化されたシステムを使うことが非常に重要です。その中でも影響力が大きいのは「流通BMS」なのですが、昨今はWeb-EDI導入の敷居が下がったため、各社がWeb-EDIを導入し、事業者は取引先ごとに複数のWeb-EDIを導入しているケースもあります。事業者にとっては、EDIの導入が業務効率化に結び付いていない面があるのです。
◆流通BMS
デメリット②マーケティング機能がない
EDIのデメリットは、あくまで受発注の管理ツールであり、マーケティング機能がないことです。しかしECサイトの場合は、BtoBにおいても新製品のプロモーションをECサイトで実施したり、あるいは取引先ごとに商品の見せ方を変えるなどの工夫ができます。
また、ECサイトは新規や単発の取引先でもカンタンに取引できるというメリットがありますが、EDIの場合はある程度中長期的な取引が見込める企業と、綿密な取り決めや申し合わせを行った上で取引を始めるという手間があります。
デメリット③標準化が浸透していない
先ほども解説した通り、流通BMSとはインターネット回線によるデータ通信であり、インターネット回線とPCのブラウザーがあれば設置可能な、データ様式を標準化した新しいEDIの標準手続きです。しかし、流通BMSは標準規格とはいえ、システムコストがかかるため、より手軽に導入できるWeb-EDIの普及が急速に進んでおり、標準化への道のりは先が長いと言わざるを得ません。
受発注システムを導入するなら!
冒頭でも述べた通り、もしこれから自社に受発注システムを導入する場合は、以下の中から検討することになります。
②Web-EDI
③BtoB向けECサイト
現在EDIを利用している場合は、流通BMSはコストも高いため、より初期費用が安く、費用が抑えられるWeb-EDIを選択するのが良いでしょう。Web-EDIのソフトウェアの中には、流通BMS、JCA手順、全銀手順などの多くの通信プロトコルに対応した製品があるので、取引先の接続形態に合わせることも可能です。
また、全国に商圏を広げたいという場合は、ECサイトを使う方法もあります。EDIは、取引先と自社のためのシステムですが、ECサイトであれば、全国(あるいは世界中)に公開することができ、今まで届かなかった層にアプローチすることができるのです。
まず、手軽にBtoB向けのECサイトを導入したいという場合は、インターファクトリーのebisumart zero(エビスマート ゼロ)をご検討ください。初期費用を抑えつつ、将来的なカスタマイズやシステム連携も可能なので、これから新規で事業を行う企業に向いているプラットフォームです。
詳しくは下記の公式ホームページをご覧ください。