ECサイトに会員ランクを導入したいと考えているのではないでしょうか?会員ランクとはロイヤリティプログラムのことで、例えば、下記のような会員ランクを作って特典を付与します。
◆会員ランク作成の例
・シルバー会員
・ゴールド会員
例えば、ブロンズ会員には特典クーポンの付与、シルバー会員には常に割引価格を適用し、ゴールド会員であればさらに送料を無料にするなど、会員ランクに応じて特典を変えることで会員であることのロイヤリティを高めて、ECサイトの利用を促進し売上を向上させるものなのです。
本日は、forUSERS株式会社でマーケティングを担当している筆者が、会員ランクについて詳しく解説します。
ECサイトの会員ランク活用事例
まずは、ECサイトで会員ランクを活用している事例を解説します。
◆SHOPLISTの会員画面
上図は、ファッションモールサイト「SHOPLIST(ショップリスト)」の会員画面です。商品の購入金額に応じて「シルバー」「ゴールド」「プラチナ」と会員ランクがアップし、ランクごとに限定イベントがあったり、ポイント還元率が変わったりするなどの会員ランク施策が行われています。
◆アディダスの会員画面
上図は、スポーツウェアブランド「アディダス」の会員画面です。こちらは会員ランクを「レベル」と表現しており、ポイントを貯める方法も、商品購入だけでなく、専用アプリを使ってランニングすることで距離に応じたポイントが貯まるなど、ポイントを貯めるためのモチベーションの上げ方にもスポーツブランドらしい工夫が見られる施策となっております。
会員ランク機能を利用するメリット
それでは、会員ランク機能を利用するメリットを整理してみます。
メリット① 会員のリピート購入回数を増やすことができる
会員のリピート購入回数を増やすことができます。例えば、ブロンズ会員に向けて、マイページやメールで以下のように通知します。
「シルバー会員になると、シルバー会員限定特典をプレゼント」
このような訴求をすることで、会員がリピート購入する可能性が上がります。もちろん全ての会員がリピート購入するわけではありませんが、会員ランクを導入することで購入したくなる心理状態になりやすくなるため、ECサイト全体として売上の向上につながるのです。
メリット② 会員の退会をある程度防ぐことができる
ECサイトの運用を続けていると、優良会員の中には途中で退会したり休眠顧客となってしまうユーザーが出てくるものですが、会員ランクを設けることで、以下のように考えるユーザーも出てきます。
「同じ商品を買うなら、会員特典のあるネットショップで買おう!」
このように会員ランクを設けていれば、退会したり休眠顧客になってしまうことをある程度防ぐことができるのです。
メリット③ マイページにログインするユーザーが増え、顧客接点が増える
会員ランクを設けると、ユーザーは「現在の会員ランクは何なのか」「あとどれくらい買い物をすればランクアップするのか」を気にするようになります。
このようなユーザーは、確認のためにマイページにログインすることになります。マイページでキャンペーンや新商品を訴求することもできますし、会員ランクの仕組みをさらに訴求することもできます。つまり、顧客接点を増やすことができるので、マーケティングしやすくなるというメリットがあるのです。
メリット④ より多くのユーザー行動を分析できる
会員ランクを導入した場合、どのような特典や訴求が購入につながったのか、顧客データを分析することができます。もちろん、会員ランクを設けていない場合でもユーザー行動を分析できますが、会員ランクとひも付けてユーザー行動を分析することで、より多くのインサイトが得られます。
例えば、購買履歴からユーザーの購買パターンや好みなどが分かりますし、ランクごとのイベントやキャンペーンの参加履歴から、ユーザーの反応や参加意欲を把握することができます。このようにランクごとに顧客エンゲージメントを分析することができるため、次回のイベントやキャンペーンのためのフィードバックを得ることが可能となります。
メリット⑤ 優良会員の抽出やセグメントが簡単にできる
もし、会員ランク機能を利用していない場合、優良会員を以下のようにセグメントする必要があります。
◆優良会員をセグメントする例
・一定以上の購入回数
・直近●か月以内の購入実績
優良会員向けの施策を行うために、都度会員情報をセグメントする必要がでてきますが、会員ランク機能があれば、「ゴールド会員以上に特典を付与する」というように簡単に施策が実行できるようになります。
それでは、実際に会員ランク機能を導入して運用するまでのステップを解説します。
ステップ① 会員ランク機能をECサイトに導入する
まず、ECサイトに会員ランク機能を実装する方法は3つあります。
方法① ECサイトに実装されている会員ランク機能を使う
多くのカートシステムでは、会員ランク機能がすでに実装されておりますので、まずご自身が利用しているECシステムに会員ランク機能があるかを確認しましょう。これからカートシステムの選定を行う場合であれば、事前に会員ランク機能の有無はもちろん、以下のような点を確認しましょう。
・ランクごとに商品やキャンペーンなどの閲覧制限ができるか
・割引やポイントなどの特典が付与できるか
方法② 会員ランクシステムのASPを利用する
もし、会員ランク機能がカートシステムに実装されていない場合は、会員管理のASPシステムを別途導入して、会員情報はカートシステムと別途管理する方法があります。ただ、カートシステムと連動していないため手間がかかりますので、会員管理システムとカートシステムが連携可能かどうかを事前に調べてみてください。
この方法の最大のメリットは、会員管理のASPシステムは、ECと店舗の両方で同じ会員ランクやポイントを利用できる点ですので、ECサイトに実装されている会員ランク機能よりもできることが多いことです。ECサイトに実装されている機能では不十分だと感じた場合は、この会員管理システムに特化したASPを利用するメリットがあるのです。
方法③ 会員ランク機能をカスタマイズで開発する
この方法は、年商1億円以上の中・大規模ECサイトが実施すべき方法で、会員ランク機能を独自にカスタマイズする方法です。中・大規模のEC事業者が利用することの多いECシステムには、会員ランク機能が実装されていることがほとんどですが、自社の顧客管理システムと連携させたり、独自の店舗システムとの連携を行う場合などはこの方法がとられます。
ただ、多くのEC事業者はカートシステムに最初からある会員ランク機能で十分なので、自社のシステムと連携させたいなどの事情がなければ、カスタマイズしなくても問題ないでしょう。
ステップ② 会員ランクを設計する
ECサイトに会員ランク機能を導入する場合、以下のような観点から会員ランクを設定する必要があります。
・各会員ランクへのランクアップ条件の設定
・各会員ランクの特典設定
当然ですが、手厚い特典を用意すれば、それだけ会員満足度は向上し売上にも影響がありますが、反対にECサイトの利益は減りますので、実際にコストシミュレーションを実施してみましょう。また、特典には以下のようなものが考えられます。
◆会員ランクの特典例
・クーポン・ポイント
・送料無料
・割引率適用
・限定商品の販売
・イベント参加の権利
・会員限定キャンペーン
このように特典として、例にあげた以外にも多くの企画を考えることができます。コストとユーザー満足度の両輪で会員ランクごとの特典を考えましょう。
ステップ③ 会員ランクを運用する
会員ランク機能を実装し、会員ランクの設計が終わったら、実際に会員ランクを運用します。ECサイト運営の途中から会員ランクを設定する場合は、会員の過去購入データからランクを振り分けることもできますが、手間がかかります。
しかし、全員が同じ状態から会員ランク制度を始めると、すでに優良会員のユーザーから不満の声が出るかもしれません。そのような場合は、特に購入金額の多いユーザーだけに特典を配ったり、あるいはゴールド会員などのランクを適用する方法が考えられます。
ECサイトで途中から会員ランク制度をスタートする場合の正解はありませんが、リピートが多いユーザーがいる場合は、満足感を感じてもらえるような配慮が必要となります。
会員ランク機能を使って、どんな戦略を実行するかが重要
会員ランク機能を使えば、すぐに売上が上がるというものでもありませんし、以下のようなデメリットが生じることもあります。
・特典がコストとなり、利益が減る
・運用負荷が増える
ですから、重要なことは「会員ランク機能を使って、どんな戦略を実行するか」ということです。
◆安価という印象付け
とにかく「安価」というイメージをユーザーに持ってもらいたいなら、特典で割引率を付与するというのも良いでしょう。
◆ユーザーとのコミュニケーション施策
ユーザーとコミュニケーションを取りたいという戦略ならば、イベントや店舗の割引チケットを用意して、スタッフとコミュニケーションをとる回数を増やし、ショップやスタッフを好きになってもらいましょう。
◆世界観を演出する
特典で、自社独自のノベルティなどをプレゼントすることで、ECサイトや扱う商品とともに世界観を演出し、ユーザーに浸透させることができるでしょう。
このように、単に会員ランク機能だけを導入するというよりは、大きなECサイトの戦略の中で、会員ランクにどのような役割を持たせるかが重要なのです。
まとめ
ECサイトにおいて、会員ランク制度は、ユーザーのロイヤリティを高め顧客満足度も向上しやすくなります。また、ランクアップの特典により「もっとお得に買い物がしたい」というユーザー心理からリピート購入を促進し、顧客の囲い込みが可能となります。
ただし一方で、ECサイトの運用負荷が増えたり、特典やサービスによりECサイトの利益が減るという一面もありますので、会員ランク制度を導入する際は、きちんと戦略を立てた上で、コストバランスを考えながら運用することが重要です。
もし、ECサイトへの会員ランクの導入を検討している場合は、インターファクトリーのebisumart zero(エビスマート ゼロ)がおすすめです。標準機能として会員ランク機能が用意されており、ランクに応じた割引やポイント付与などの囲い込み施策も可能です。
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