自社やクライアントのECサイトを構築することになり、ECのプラットフォームとして、費用がかからないオープンソースの利用を検討しているのではないでしょうか?
オープンソースは、バージョンを重ねるごとに機能も増えており、年商が1億円未満であれば、機能的な不足はあまり感じないでしょう。しかし、オープンソースは、セキュリティに脆弱性が生まれやすいプラットフォームであり、その点に気を付けて運用する必要があります。
具体的には、オープンソースはなるべくカスタマイズしないことです。なぜなら、カスタマイズしてしまうと新しいバージョンが適用できなくなり、脆弱性が高まるリスクがあるからです。
本日は、forUSERS株式会社でマーケティングを担当している筆者が、これからECサイトをオープンソースで作る方向けに、利用の注意点を含めて解説します。
オープンソースを利用するなら、日本においては「EC-CUBE」を使うべき
オープンソースのECシステムは、主に日本企業が開発した「EC-CUBE(イーシーキューブ)」と、Adobe製品の「Magento(マジェント)」の2つが選択肢となりますが、オープンソースを利用する場合はリファレンス(参考とする情報)の量が非常に重要です。
その点を考えると、日本語で豊富なリファレンスが提供されているEC-CUBEを使うべきです。また、EC-CUBEについてGoogleで調べると、公式情報以外にも無数の情報がブログで提供されていること、そして頻繁に新しいバージョン(EC-CUBE 4.1.2)をリリースしていることからもEC-CUBEを使うべきでしょう。
EC-CUBEは以下の公式サイトからダウンロードできます。
また、契約しているレンタルサーバからもカンタンにダウンロードできるはずです。
EC-CUBEの公式サイトを見ると、大きく以下の2つに分かれています。
・クラウド版
オープンソースはダウンロード版のことであり、クラウド版は月額5万円~の支払いが発生するASP(アプリケーションサービスプロバイダー)です。オープンソースを利用する場合は、ダウンロード版を利用しましょう。
EC-CUBE以外のオープンソースとしては、世界的に有名なMagentoがありますが、Adobeに買収されてから、ソフトウェアのダウンロード方法が非常に分かりづらくなりました。Magentoにこだわりがあるケース以外は、オープンソースとしては利用しにくいと筆者は感じます。
そのため、無料でオープンソースを利用したいという場合は、EC-CUBEが現実的な選択肢となるのです。
オープンソースは完全に無料ではなく「決済手数料」と「サーバ費用」が必要
オープンソースを選択する理由の一つに「無料」であることが挙げられます。ECサイトの運営初期は、なかなか売上を上げることはできませんし、広告費用も必要となるため、利益を得やすい構造にするために固定費があまりかからないようにするべきです。
その点、オープンソースは、ASPやパッケージなどの月額数千~数十万円するプラットフォームと違って、プラットフォーム会社に支払う費用が一切かかりません。しかし、全く無料というわけではなく、決済手数料とサーバ費用がかかります。
決済手数料は4%~程度
契約する決済会社によるのですが、決済代行会社GMOイプシロンが提供するEC-CUBEペイメントライトであれば、決済手数料は法人で4%~、個人事業主では5.5%~かかります。つまり1,000円の商品の場合、法人であれば40円~、個人事業主であれば55円~の決済手数料がかかることになります。
サーバ費用は月額数千円程度(筆者の場合)
サーバ費用は、契約によるのですが、筆者の場合おおよそ年間数万円程度なので、月額数千円程度の出費となります。さまざまな価格のサーバがありますが、よほど容量の大きいサーバーにしなければ、これくらいの費用感になるはずです。
ちなみにサーバの容量はブランド力のある大企業でもないかぎり、スタンダードなプランで十分です。筆者はブログを10本、一つのサーバに入れて運用しており、その中の1つのブログは夏には毎年月間20万PVとなりますが、パフォーマンスは全く問題ありません。
サーバで迷うことがあるなら「エックスサーバー」にしておけば、まず間違いありません。セキュリティも他のレンタルサーバより高めだと筆者は実感しています。
参考:エックスサーバー
このようにオープンソースを使ったからといって全くの無料ではなく、固定費を抑えられると考えておきましょう。ちなみにASPの中でもBASEやSTORES、カラーミーショップなどには無料プランがあるので、固定費を抑えることを重視するなら、あわせて検討すべきです。
検討の基準は以下の通りです。
◆EC-CUBEを使うべきか?BASEやSTORES、カラーミーショップを使うべきか?
==>EC-CUBEを使う
・ITが苦手で、ある程度決まった機能で利用したい
==>BASEやSTORES、カラーミーショップを使う
オープンソースを利用してECサイトを運営する場合は、なるべく「カスタマイズ」しないこと
オープンソースの良いところは、ソースコードが公開されていることです。そのためプログラミングの知識がある方なら、自分でプラットフォームをカスタマイズすることができるのです。しかし、これは全くおススメできません。
なぜなら、カスタマイズをやり過ぎてしまうと、オープンソースの新しいバージョンが導入できなくなるからです。例えば、EC-CUBEバージョン3を利用して、自社の顧客管理システムと自動連携を行ったり、独自機能をカスタマイズ開発すると、EC-CUBEバージョン4をインストールできなくなる可能性が高いのです。
新しいバージョンをインストールできないと、システムに脆弱性が生まれます。ネットショップの顧客情報流出があまりに多いため、以下のように経済産業省からも注意喚起がされております。
参考:経済産業省「株式会社イーシーキューブが提供するサイト構築パッケージ『EC-CUBE』の脆弱性等について(注意喚起)」
オープンソースの一番のデメリットは「脆弱性」であり、それを補うために、オープンソースは絶えず最新のバージョンにしなくてはいけませんが、カスタマイズをしてしまうと、新しいバージョンが利用できなくなる可能性があるのです。
そのため、オープンソースを利用する場合は、カスタマイズを行わず、常に最新のバージョンを利用するなど、セキュリティ対策を怠らないようにするべきです。
筆者もオープンソースソフトウェアを個人的に利用していますが、自動でバージョンアップする設定にしております。このようなことは、オープンソースのプラットフォームを使ったECサイト運営には欠かすことはできないのです。
もし、カスタマイズが必要な場合は、無理にオープンソースを利用せず、パッケージやカスタマイズ可能なクラウドのECプラットフォームを利用しましょう。
EC-CUBEのような有名なプラットフォームであれば、プラグイン(拡張機能)が多数ある
プログラムをカスタマイズしようとしなくても、EC-CUBEであれば、多数のプラグインが提供されております。有料のプラグインもありますが、カンタンに導入できることが最大のメリットです。例えば、集客に関するものは以下で紹介されております。
有料プラグインは1万円~と、個人事業主には少し高く感じるかもしれませんが、導入後、カンタンな設定で利用できる点は非常に魅力的です。
このようなプラグインを積極的に利用できるのも、EC-CUBEのように有名なオープンソースの魅力の一つです。
企業で新規事業を行うなら、拡張しやすいプラットフォームを選ぼう
オープンソースでECサイトを運営し、年商が1億円を突破する頃には、注文数が1日あたり100件を超え、バックエンド作業でヒューマンエラーが発生するようになるはずです。
そのため売上をさらに向上させるためには、バックエンドの整備が必要になります。例えば、顧客情報のCSVファイルを手作業で連携しているのなら自動化を検討する必要があります。
オープンソースはシステム連携を行うと、新しいバージョンがインストールできなくなる可能性があります。
もし、将来的なECサイトの拡張までを考えて、今からECサイトを始めるのでしたら、インターファクトリーのebisumart zero(エビスマート ゼロ)をご検討ください。多機能で柔軟性の高いECプラットフォームで、将来的なカスタマイズも可能です。
特に、費用を抑えながら手早くECサイトを開設したい、新規参入の企業に適したプラットフォームですので、詳しくは下記公式ホームページをぜひご覧ください。