予約販売機能は、商品発売前から予約を受け付けることができる機能です。ECサイトにおいても多くの有料ECカートシステムに実装されている機能です。
予約販売を利用することで、販売期間を長くしたり、商品が欲しいユーザーとのコミュニケーションのきっかけとなるため、単なる機能というよりは、ECサイトのファン育成のための施策としてとらえるべきでしょう。
本日は、forUSERS株式会社でマーケティングを担当している筆者が、ECサイトにおける予約販売機能について詳しく解説します。
予約販売機能の事例
まずは、予約販売機能の事例として以下をご覧ください。ZOZOTOWNの予約商品の販売ページになります。
◆ZOZOTOWNの予約販売の例
赤枠部分のように、予約商品であることと、お届けの目安がいつ頃になるかが目立つように明示されております。カートインのボタンも、通常の「カートに入れる」から「予約する」になっていることが分かります。
それでは、次に予約販売機能を使うメリットがあるECの商材について解説します。
予約販売機能でメリットがあるECの商材とは
予約販売機能を使うべき商材は以下のとおりです。
① 品切れしやすい人気商品
例えば、すぐに品切れしてしまうような人気商品を扱う場合には、予約販売機能を利用することで、販売日の混乱を避けることができますし、また絶対に欲しいと考えているユーザーが予約注文することで、安心するメリットがあります。
特に人気の高い商品は、発売になった瞬間にアクセスが集中するため、最悪の場合サーバダウンによりサイト自体につながらなくなってしまう可能性もあるため、予約販売機能により、事前にそのようなリスクを軽減させておくことが大事です。
② シーズンものを扱う場合で販売期間が短い商品
例えば、果物や野菜などシーズン(旬)がある商材を扱う場合などは、販売期間が短いため売上を伸ばしづらいという面があります。
しかし、シーズン前から予約販売を受け付けることで、販売期間をより長くとることができ、売上を伸ばすことが可能となります。その場合は、SNSやメルマガなどで予約販売を受け付けていることを通知して、会員やフォロワーに需要を喚起する必要があります。
また、シーズン外でも常時商品ページを設置することで、SEOにおいても常時検索できる状態にしておき、シーズン外にページを訪れた人にも予約販売ができるようにしておくと、初回購入者を増やすことにもつながります。
③ いつ入荷できる分からない商品
例としては、コロナ禍のマスクのように、いつ入荷するか予想ができないような商材は、予約販売をすることで、入荷すればユーザーにも通知が届き、販売側も在庫を抱えるリスクがなくなります。この場合、ユーザーからのキャンセルを受け付けたり、あるいは入荷が長引く場合は、ユーザーに都度通知するなどの取り組みが必要となります。
④受注販売を実施する商品
在庫を抱えずに受注販売を実施する場合は、予約販売機能は必須となります。受注してからの生産となりますから、待ってでも買いたいと思われるような独自商材であったり、ファンが多くいる商品でないと成り立たない販売方法です。
予約販売機能を使った5つのマーケティング戦略
それでは、予約販売機能を使ったマーケティング戦略を解説します。
① 人気商品を利用して初回購入につなげる
もし、Amazonや楽天市場などの大手モールでもなかなか入荷できないような商品を販売できる見通しが立っているのなら、予約販売を実施して、SNSやメルマガを使って拡散しましょう。そうすることで、その商品を求める新規ユーザーの目に届きやすくなり、初回購入につなげることができるのです。
初回購入してくれたユーザーは、リピート購入の可能性が出てきます。つまり、初回購入者を増やすことは、将来のリピート購入者を増やすことにつながり、ECサイトの売上が安定しやすくなります。そのため新規の初回購入を増やす施策を積極的に行うことは、ECサイト運営で重要なポイントの一つと言えるのです。
② 過去の購買履歴から予約販売を訴求する
もし、予約販売する商品が再販売の商品であったり、似た商品を過去に販売したことがある場合は、メールで予約販売する商品の告知を行いましょう。そうすることで関心を持つユーザーが予約してくれる可能性があります。
また、ホームページで告知する前に先行して既存会員に伝えることで、特別感を演出することにもつながるので、ユーザーのロイヤリティも高まります。
③ 予約販売をメルマガやSNSで拡散する
せっかく予約販売を実施するのに、それをECサイトで告知するだけではもったいないです。既存顧客向けにはメルマガで、新規顧客向けにもSNSで予約販売受付を告知していきしょう。
筆者も実際に、欲しい商品の予約開始をSNSから知ることが多いですし、同じ趣味を持つ友人が拡散してくれたことで知ることもあります。このようにSNSを使えば、潜在的な顧客にも拡散されて購入へとつながる可能性も大いにありますので、さまざまなメディアを使って告知を行うことが重要です。
④ 予約販売で特典も付与する
予約販売で購入したユーザーに対して、特典を付与します。注文してくれたユーザーに特典を付けることで特別感を演出して、ECサイトのファンを増やしていくことができます。
また、イベントのチケット販売などに多い方法ですが、ECサイトで会員限定特典として先行予約を受け付けるといった形で、予約販売自体を特典にする方法もあります。
⑤ 販売が終了したページも残しておく
限定生産や人気商品で、販売が終了したページもできるだけ残しておきましょう。人気商品である場合は、販売が終わった商品ページにも集客力があります。将来、再販売する予定があるなら予約販売を実施するのも良いですし、入荷の予定がはっきりしない場合も問い合わせ先を設置しておきましょう。
ECサイトの弱点の一つは、顧客接点が少ないことです。そのためユーザーからショップに問い合わせてくれることはチャンスとも言えます。誠実な対応を実施すれば、定期的にECサイトに訪問してくれるようになるかもしれないからです。
予約販売の注意
予約販売を実施する場合は、以下のような機能があることが前提となります。
✓キャンセルの受付
✓配送遅延の連絡
このような機能は、予約販売機能を持つカートシステムには実装されておりますが、機能に頼るのではなくユーザー目線に立った対応が必要となります。例えば、長い期間ユーザーを待たせている場合は、都度メールで状況を連絡するなど不安を取り除くことが大切です。
このような細かい対応の積み重ねで、「顧客対応が丁寧なショップ」という印象につながり、間接的にリピート購入を促す効果があります。
予約販売をキッカケにして、ユーザーとのコミュニケーションを増やそう
予約販売を行うことで、商品が販売(入荷)されるまでの期間、ユーザーにメールで通知することもできますし、発売日(入荷)が未定の商品の場合も、ユーザーに都度通知ができます。つまりユーザーとのコミュニケーション機会が増えるのです。
しかも、通常のプッシュ型(メルマガ・ステップメール)の戦略と違い、ユーザーの反応率が高く、ユーザーと密度の高いコミュニケーションが取れる可能性が高くなります。
本当に欲しい商品だからこそ、予約してから販売されるまでの期間は長く感じるものです。待機期間が長くなれば「本当に予約できているのか?」「放置されているかも」と不安にもなってきます。しかし、その間にショップから連絡があれば「もう少々お待ちください」という内容だけであっても、ユーザーに安心感を与えます。
目先のマーケティング戦略だけではなく、商品を待つユーザーの気持ちになってしっかり対応することで、あなたのECサイトのファンを増やしていきましょう。
もし、これからネットショップを始める方は、機能が豊富で将来的なシステムの拡張や連携も可能な、インターファクトリーのebisumart zero(エビスマート ゼロ)をご検討ください。下記の公式サイトから詳細をご確認いただけます。