Amazon、楽天、Yahoo!以外の5つの注目ECモールとは?

多数の企業やショップが出品・出店しているECモールは、楽天市場やAmazonを筆頭に、多くのオンライン消費者に利用されているECサイトです。

ECモールへの出店を検討する際、「楽天」「Amazon」「Yahoo!ショッピング」の3大モール以外にも、多くのECモールサイトが存在します。各モールのコストや特徴を理解した上で、自社商品の展開において相性の良いモールサイトを検討することが重要です。

本日は、forUSERS株式会社で、マーケティングを担当している筆者が、ECモールについて解説します。

国内ECモール利用者数トップ5

まずは、国内のECモールの利用者数、利用回数について、ニールセン デジタル株式会社が発表したランキングをご覧ください。

◆2021年12月のECモール利用者数トップ5

順位 ECモール名 利用者数
(万人)
平均利用回数
(テキスト)
1 楽天市場 5,104 54
2 Amazon 4,729 39
3 Yahoo!ショッピング 2,288 19
4 au PAY マーケット 961 17
5 Omni7 849 14

ソース:デジタルコンテンツ視聴率 2021年12月 Monthly Totalレポート
※PCは2歳以上、スマートフォンは18歳以上の男女(PCとモバイルの重複を除く数値)
※利用とは閲覧のみの利用も含みます

出典:「楽天」「アマゾン」「ヤフー」「au Pay Market」「Omni7」のEC利用者、利用回数はどのECサイトが多い?【ニールセン調査】(ネットショップ担当者フォーラム)より、筆者作成

これによると、やはり「楽天」「Amazon」「Yahoo!ショッピング」の3大モールが、突出して利用者(閲覧のみも含む)が多く、後続のモールを大きく引き離しております。

4位の「au PAY マーケット」は、中堅モールの中でも出店数が多く、auユーザーにダイレクトに還元されるメリットが大きいこともあり、3大モールに次ぐ利用率の高さを持っております。

また、5位の「Omni7」については、セブンイレブンやイトーヨーカドーといった、店舗数も多く生活に密着した通販展開により、多くの利用者を獲得していると考えられます。

なお、2022年12月現在、Omni7はこれまでのモール型ECサイトから、セブン&アイグループ各社によるそれぞれの通販サイトとしてリニューアルしております。

楽天市場やAmazon、Yahoo!ショッピング以外の5つのECモールを紹介!

新型コロナウイルスの流行をきっかけに、EC市場には多くの新規顧客が流れ込み、特にECモールはそういったユーザーの受け皿として、大きく売上を伸ばしました。

市場のシェアを大きく占める楽天、Amazon、Yahoo!ショッピングの3大モールがシェアをさらに拡大したのは言うまでもありませんが、後に続く大手のECモールも存在します。それぞれ独自性を生かし、コロナ禍を追い風にして各社とも着実にシェアを広げております。

そこで今回は、今後の有力モールとして期待される5つのECモールにスポットを当てて解説します。なお、3大モールについても過去の記事で解説しておりますので、あわせてご覧ください。

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① au PAY マーケット

aupayマーケット

au PAY マーケットは、KDDIとauコマース&ライフが運営する総合ショッピングモールサイトです。出店数は2019年5月時点で15,000店以上で、扱う商品は日用品からグルメ、ファッション、インテリア、家電まで幅広く、主に30代〜50代のユーザーを中心とした多くのユーザーに利用されております。

au PAY マーケットの最大の特徴は携帯キャリアとしての強みで、全国2,500万を超えるauユーザーと、提携しているPontaカードの会員約1億人へのリーチが可能という集客力にあります。さらに、全国2,500店舗あるauショップで新規会員獲得や利用促進を行なっているため、オフラインでも集客できる点は、携帯キャリアならではの強みと言えます。

決済方法も幅広く、携帯料金とあわせて支払いできる「auかんたん決済」や、Pontaポイントによる支払いが可能など、auユーザー向けの決済方法はもちろん、「ソフトバンクまとめて支払い」や「ドコモ払い」など、au以外のキャリアユーザーも気軽に利用できるようになっております。

また、出店にあたっての初期費用は無料、月額費用は5,250円と比較的安く設定されております。さらに、成約手数料は4.5%〜9.0%で決済手数料込みというシンプルで分かりやすい料金体系も大きな特徴です。

参考:au PAY マーケット(通販サイト)au PAY マーケット│出店トップ

② Qoo10(キューテン)

qoo10

Qoo10は、世界最大級の越境EC・オークションサイト「eBay」傘下の、マーケットプレイス型ECモールです。マーケットプレイスはいわゆる出品型で、Amazonのような商品主体のECモールになります。

2020年12月時点での出店数は15,000店舗で、メインのターゲット層は10代〜30代女性のため、扱う商品もレディースファッションやコスメ関係が主力となっております。決済方法も、クレジットカートを持たない若年層も利用しやすいよう、コンビニ払いやLINE Payなど幅広い決済サービスに対応しております。

2010年サービススタートと比較的新しいECモールですが、コロナ禍において急伸し、2021年は対前年比約30%増、会員数は2021年末で2,000万人を超えて、現在急成長中のモールです。

参考:Qoo10の日用品・生活商材の売上が急伸! 「商品が埋もれない」露出支援強化が販売に直結(ECのミカタ)

出店(出品)にあたっての料金体系も非常にシンプルで、初期費用は無料で、月額固定費もかかりません。また「完全成果報酬型」を採用しており、取引が成立したときだけ手数料が発生する形になっております。審査も非常に簡易的で、出店登録から最短3日で出店できるため、他モールと比べて参入ハードルは非常に低いと言えるでしょう。

参考:Qoo10

③ ポンパレモール

ポンパレモール

ポンパレモールはリクルートが運営するECモールです。2018年3月時点で店舗数は2,571店舗と、店舗数は競合に比べてかなり少ないですが、リクルート傘下のため、運営元を同じとする「じゃらん」「ホットペッパー」「ホットペッパービューティ」などの会員へのアプローチが可能となっております。

また、こちらもPontaサービスと提携しているため、会員約1億人の流入が見込めることなど、集客対象となるユーザーの母数の大きさが強みとなっております。

取り扱う商品ジャンルは、生活用品からファッションやホビーまで、他ECモールと同様に幅広いですが、中でも食品の割合が大きい点は他にはあまり見られない特徴と言えるでしょう。全品のポイント還元率が3%以上と、他ECモールよりポイント還元率が高いことも、ユーザーにとっては魅力です。

出店にかかる費用は初期登録費用として60,000円、月額の出店料は無料ですがシステム利用料として売上の2.5%、クレジットカード決済手数料も別途必要になります。また画像容量の上限があり、10GBを超えるとオプション費用がかかってくるため注意が必要です。

参考:ポンパレモール

④ SHOPLIST(ショップリスト)

shoplist

SHOPLISTは800以上のブランドを扱うファション専門のECモールです。ファッション専門のモールサイトというと、競合大手にZOZOTOWNがありますが、SHOPLISTは10代〜20代女性をメインターゲットに据え、プチプラファッションを中心に扱うことで競合差別化を図っております

キャリア決済をはじめ、LINE Pay、Paidy、メルペイなど多くの決済方法を用意しておりますが、支払いが3か月後となる「超あと払い」というユニークな決済方法もあります。また、5,500円以上の買い物で送料無料になるなど、学生など若いユーザーも気軽に購入できる仕組みを作っております。

出店については、初期費用は無料で、月額費用といった固定費もかかりません。そのため、売上が0でもコストがかかるというリスクはありません。ただし、販売手数料が商品の販売ごとに売上の40%と、かなり高めの設定になっており、商品の価格を他ECモールと同価格に設定することが義務付けられているため、出店を検討する際には注意が必要です。

とは言え、SHOPLISTは認知度も利用者数も堅調に伸びており、テレビCMなどプロモーションにも力を入れているため集客力もあります。また、商品の配送や、顧客対応もモール側が行うため、販売事業者の負担も少ないことから、新たなチャネル展開を検討している事業者には非常に有力なプラットフォームと言えます。

参考:SHOPLIST

⑤ dショッピング

dショッピング

NTTドコモが運営するdショッピングは、出店数が2018年3月末時点で42店舗、2020年3月末時点で約100店舗と、競合モールに比べると極めて少ないながら、売上高は6,000億円規模まで成長しており、ECモール市場でも急伸的に存在感を発揮しているECモールです。

食品・日用品・家電など約300万点の幅広い商品を取り扱っており、利用者層は30〜50代で、シニア層にも普及しているため、客単価も比較的高めであると筆者は予想します。

店舗数が少ないながらも、dショッピングがここまでの成長を見せている要因としては、以下の3点が考えられます。

・店舗が厳選されている
・ドコモユーザーにリーチ可能
・dポイントのメリットが大きい

サービス開始時から手当たり次第に店舗を増やすことはせず、モール側が出店してほしい事業者に声を掛け、厳選された商品のみ販売するという姿勢を取ってきたため、出店している店舗が全て優良店という認識が持たれています。

また、全国のドコモユーザー8,000万人にリーチできることや、dポイントが使えることは、最大の強みと言えます。

特にdポイントに関しては、還元率が非常に高く、購入金額によってポイントが20〜40倍になるキャンペーンや、ポイント利用分にも20%ポイント還元される特典もあるなど、ポイントが貯まりやすい仕組みが用意されているため、リピート率も非常に高いと予想できます。

参考:高ポイント還元率、新規出店者開拓、販促支援強化――巣ごもり需要を追い風に流通額が伸びる「dショッピング」の取り組みまとめ(ネットショップ担当者フォーラム)

出店にあたっては、条件や料金体系は公表されておらず、出店希望の際は問い合わせから始めなくてはいけませんが、出店ができれば安定した売上が期待できるプラットフォームだと言えるでしょう。

参考:dショッピング

ECモールは楽天やAmazonだけではない

ECモールへ出店あるいは出品をしようと考えた時、まずは楽天市場やAmazon、Yahoo!シッピングといった3大有名モールを検討すると思います。しかし、これら大規模なECモールはプロモーションも強いですが、モール内には競合が多く、価格競争に陥りやすいというデメリットもあります。

そういった点では、今回紹介したECモールは競合も比較的少ないため、販売チャネルの一つとしては大いに検討の余地があります。特に、キャリア系のECモールは、キャリアユーザーの数だけ見込み顧客が存在し、キャリア独自のポイント利用も可能なため、安定した集客も期待できます。

各モールのターゲット層とニーズが商品に合致すれば、予想以上の成果が得られるでしょう。そのためには、ECモールそれぞれの特徴や強みを把握し、自社商品の展開において相性の良いモールサイトをしっかり検討することが重要です。