個人でネットショップを立ち上げるための9つのステップ

個人でネットショップを始めるべきかどうか、検討しているのではないでしょうか?

個人でネットショップを始めるなら、まずは副業から始めるべきです。なぜならネットショップを作るのはカンタンなのですが、ネットショップで売上を上げるには独自のノウハウが必要になります。そのノウハウを積み上げるまでは副業でネットショップを運営し、利益が本業の給与を超える段階で専業を考えるべきでしょう。

本日はforUSERS株式会社でマーケティングを担当している筆者が、個人でネットショップを開業するための9つのステップについて詳しく解説いたします。

ネットショップを個人で開始した方の多くは、月商10万円以内

ネットショップを個人で開業した方の平均月商データは存在しませんが、下記の記事などを参考にすると、個人の方の場合は月商10万円以内であると推測できます。※下記の記事は個人と法人の区別がありませんので、あくまで筆者の推測となります。

参考:ネットショップの運営実態アンケート集計(ECのミカタ)

また、筆者の知り合いの20代の女性も副業でアパレルのネットショップを開業していますが、運営3年目において月商7万円であることを聞きました。副業か専業であるかにより月商も変わってきますが、熱意を持って、運営していけば月商10万円を超えることも可能となります。

では、個人でどのようにネットショップを開設すれば良いのか?9つのステップに分けて解説します。

ネットショップを個人で開業するための9つのステップ

ステップ①個人であれば、まずは副業でネットショップを始める

例えば、ネットショップの経験もノウハウもないのに、いきなり仕事を退職してネットショップを始めるのは絶対にやってはいけません。なぜならオンラインで商品を販売するには、独自のノウハウが必要となるため、いきなりネットショップで20万円の売上を上げて自活するといったことは至難の業だからです。

個人であれば、まずは副業から始めるべきです。専業を目指すのなら、副業で1~3年程度、ネットショップで実績とノウハウを積み上げてから専業を目指すべきでしょう。筆者の知り合いにはネットショップ運営で、副業で月商50万円を超える個人の方も存在しており、まずは副業の売上で生活が成り立ってからでも遅くはありません。

そして、副業で成功するためにおススメなのは、ネットショップの会社に転職して、そこでネットショップで売上を上げるためのノウハウを身に付けて、副業に生かす方法があります。

多くの中堅ネットショップ会社は人手不足なので、通常の社会人経験であっても比較的入社しやすい傾向にあり、副業でネットショップを運営するほどの熱意のある人は歓迎されます。

ステップ②独自のネットショップのコンセプト・世界観を作ろう!

多くの方は、インターネットで買い物するプラットフォームとして、以下のような有名な大手サイトを使っているはずです。

◆大手サイトの一部

・Amazon
・楽天市場
・ビックカメラ
・ヨドバシカメラ
・ZOZOTOWN
・ユニクロ
・ニトリ

筆者自身もほぼネットショッピングは、Amazonを使っており、個人のネットショップで買うことはほぼありません。しかし、例外もあります。例えば、そのショップにしか売っていない独自のTシャツを買ったこともあります。

このように、ネットショップにおいては、ユーザーから自分のネットショップが選ばれる理由が必要となります。それにはネットショップのコンセプトや世界観を作る必要があります。

例えば、Tシャツ専門のネットショップを作る場合に、魚のプリントだけを扱うネットショップであれば日本で唯一の独自性が出てきますし、ハンドメイドのアクセサリーを扱うなら、そのアクセサリーのコンセプトや世界観が、ネットショップのコンセプトとなります。

需要の少ないニッチなものでも、ネットショップでは日本中・世界中に商圏を広げることができるので、日本や世界で唯一のコンセプトであれば売上を上げやすくなります。まずは、下記のようにGoogleで掛け合わせ検索をしてみましょう。

◆掛け合わせ検索の例

「○○ Tシャツ」
「○○ イヤリング」
「○○ 財布」

このような検索をして、検索結果に明確なネットショップが出現しなければ、そのコンセプトや世界観はあなただけのものとなるはずです。

そして、そのようなコンセプトが決まれば、Googleで検索したときに必ずあなたのネットショップを検索結果の上位に位置することができ、そうなればSEOにより自然と集客が可能となります。

ステップ③仕入れ先

ネットショップのコンセプトが決まったところで、どのように商品を仕入れるか?を検討する必要があります。商品の仕入れ方は以下の5つです。

①卸売業者を探す
②メーカーに営業をかけて直接仕入れる
③量販店で購入する
④Amazonで購入する
⑤自分で商品を作る

①卸売業者の探し方は、実は非常にカンタンです。Googleで「ネット販売 卸」などと検索すると、個人相手でも商品を卸してくれる卸売業者が複数見つかるはずです。

このような業者から直接商品を仕入れることができます。ただし、あなたが卸せるということは、多くの同業のネットショップの方も仕入れているため、あなたのネットショップを差別化していく必要があります。

そういったことを避けるなら②メーカーから直接仕入れるという手段もありますが、信用のない個人ではなかなか仕入れることはできません。

③量販店で購入したり、④Amazonで商品を購入して、自社ネットショップで販売する方法がありますが、セールなど特別に安い金額で購入しないと利益が出ません。最後の方法は⑤自分で商品を作る方法があります。その場合は、原材料費や商品作成に費やす労力を換算して値付けをしなくてはなりません。

どの方法も一長一短ですが、これからネットショップを開設する方で、仕入れ先を開拓する必要があるのなら①の方法から始めて、まずはネットショップ運営に携わることが重要です。ネットショップを運営しながら仕入先の開拓を行いましょう。

ステップ④カートシステムを使う

コンセプトが決まり、仕入れにもめどがつけば、いよいよネットショップ開設です。そのためにカートシステムを導入します。カートシステムといっても難しく考える必要はありません。無料で使えるカートシステムが数多くあります。

◆無料のカートシステム

・BASE
・STORES
・カラーミーショップ

無料と言っても、完全に無料ではありません。商品が売れた時に発生する、クレジットカード決済の手数料がとられます。

◆無料プランのカートシステムの決済手数料比較

しかし、商品の売上が自動的に引かれているので、決済手数料を事前に用意する必要はありません。

カートシステムには、無料のものと有料のものがあり、大きな違いは下記の点になります。

◆無料のカートシステムの特徴

・URLに制限がある
・デザインに制限がある
・容量に制限がある
・機能に制限がある

しかし、裏を返せばネットショップに必要な機能は全て実装されているので、個人でネットショップを開設する場合に、不足は全くありません。

そして、有料のネットショップの売り文句に「集客力がある」という文言がありますが、多くは有名ショッピングモールとの連携ができて、商品が売りやすくなるという意味で書かれていて、そのような機能はBASEにもあります。こういったショッピングモール連携は、おまけ程度であり、そこまで集客力が強いわけでもないので、集客力のあるネットショップという点は注視しなくても問題ありません。

有料のカートシステムを使う場合は、目的が明確であり、その目的の機能があるカートシステムを使う場合に有効となります。例えば、弊社のネットショップのカートシステムの「ebisumart zero(エビスマート ゼロ)」は、将来、ECの売上規模を拡大して、独自のカスタマイズを行いたい場合などは、おすすめのカートシステムとなっています。

参考:ebisumart zero

このように最初から目的が明確な場合は、有料のカートシステムの利用も検討しましょう。

ステップ⑤個人でネットショップを開設するための資金

すでに解説したとおりに、副業で、卸売業者から仕入れて商品を売る場合であれば、ほとんどが仕入れのための資金となります。

まずは月に10件の注文を目標に考えると、1件あたりの商品が3,000円と仮定すると、3万円が最低限必要となりますが、少し余裕をもって考えると5万円~10万円もあれば十分です。少ないと思われるかもしれませんが、個人のネットショップでは最初はほとんど商品が売れません。

これくらいの金額であれば、誰でもすぐに用意することができるはずです。間違っても借金などしないで、自己資金で用意してください。そのため、大量に在庫を抱えてリスクを負う必要など全くありません。

ステップ⑥配送業者

注文数が月に数件のうちは、自分でコンビニや宅配業者の窓口に行って、手続きをしてもよいですし、注文が毎日発生するようになれば、宅配業者に集配を依頼しましょう。

大手の宅配業者は以下の3社です。

・ヤマト運輸
・佐川急便
・日本郵便

それぞれ、サイズや配送先の地域により費用が異なりますので、比較した上で配送業者を選んでみてください。詳しくは下記の記事に費用感や各社の特徴がまとめてありますので、参考にご覧ください。

参考:ECサイトを開設する人のための宅配便大手3社のまとめ(ebisumart Media)

ステップ⑦マーケティング

ECサイトのマーケティングこそ、売上を高めるために最も必要な要素となります。そして個人のネットショップでは、下記の3つの要素が大切となります。

1.集客
2.初回購入の確率を高める
3.リピート購入してもらう

集客においては、SEOかSNSを行うべきです。広告を使うと利益が出にくくなるため、労力をかけて集客を成功させるしかありません。SEOとSNS施策については下記記事をご覧ください。

◆ネットショップの集客施策

①SEO施策

参考:ECサイトの商品ページに流入を増やすSEO施策(ebisumart Media)

②SNS施策

参考:EC事業者のためのSNS運用法を5つのポイントで徹底解説(Commerce Marketing Blog)

「初回購入の確率を上げる」というのは、例えば集客施策により、ネットショップに来てもらったユーザーに対して、クーポンやポイント訴求、あるいは送料無料の訴求を行うことで、初回購入の成功確率を上げることです。この初回購入をユーザーに経験してもらうことが非常に重要となります。

なぜなら、1度でも商品を購入して、自宅に届いたという体験があれば、ユーザーが次も買い物してくれる可能性があるからです。当然ですが一度も買い物をしてくれないのでは、リピート購入は生まれません。そのため初回購入というのは非常に重要な施策なのです。

そして初回購入が成功すれば「リピート購入」してくれるユーザーが現れます。このようなリピーターをもてなすには、梱包を丁寧にしたり、あるいは「おまけ」を同梱するのも手です。アフターフォローを徹底し、さらに何度も購入してくれるユーザーには個別にクーポンを配るなどすれば、リピーターは確実に増えます。

このようにリピート対策を行うことで、ネットショップの売上を高めることができるのです。

ステップ⑧開業届

結論から言えば、個人のネットショップ開業に「開業届」は必須ではありません。しかし、開業届には以下のようなメリットがあります。

◆青色申告のメリット

・青色申告により最大65万円の控除
・青色申告により赤字を3年繰り越しにできる
・屋号つき銀行口座を開設できる
・社会的信用が高まる

開業届を出せば青色申告ができるようになり、つまり、税制上の控除を受けたり、赤字の場合、その赤字額を3年繰り越しにできたりと税制上のメリットを受けられます。しかし、デメリットとして、確定申告の手続きが面倒という点が挙げられます。もし売上がある程度あるなら税理士を検討してみましょう。

筆者の意見ですが、開業届を提出する最大のメリットは、節税面よりも「ネットショップ事業を開業した!」という自己意識です。形だけとはいえ、事業としての開業届は非常に意義があります。

ネットショップの立ち上げ当初は、売上はほとんどありませんので、開業届でそこまで実質的なメリットが享受できるわけではありません。しかし、開業届によってネットショップ事業の意識が高められるのなら非常に大きなメリットと言えます。

ステップ⑨銀行口座

銀行口座はすでに持っているものでも構いませんが、給与所得と分けたい場合は、新規に口座を作りましょう。口座をすでに所有している場合は、2つの口座を同じ銀行で作ることができませんので、他の銀行が良いでしょう。

また、カートシステムから入金があるので、銀行口座によっては振込手数料が無料になったり、安くなる場合があるので、事前にカートシステムの対応銀行口座を確認してから銀行口座を作ると便利です。

まとめ

まずは、副業としてネットショップを開設し、ネットショップの利益が自分の本業の給与と同程度になってから専業を考えましょう。ただし、一時的にネットショップの利益が本業の収入を超えたとしても、サラリーマンと違い、不安定であることは否めませんので専業を考える場合は、慎重に検討してください。

個人でネットショップの売上を高めるためのノウハウは、ブログやYouTubeにあふれています。しかし、それらのノウハウは実行してみないとほとんど意味がありません。まずは費用をかけないで実行できる施策からドンドン試してみてください。