新規事業者が「ネットショップ開業」する前に読むべきまとめ

ネットショップを開業して、商品をオンラインで全国に販売することを検討しているが、どうやって始めたら良いのか?それともAmazonや楽天市場で開業すべきなのか?と漠然とした不安や疑問が多いのではないでしょうか?

ネットショップの最大のメリットはコストコントロールしやすいという点であり、Amazonや楽天市場と比べると費用が抑えられますが、一方でSEOやSNS施策を実施して集客を自社で工夫する必要があります。しかしすでに全国に顧客がいる場合は、最初から集客ができるためネットショップでいきなり売上を上げることも可能です。

本日は、forUSERS株式会社でマーケティングを担当している筆者が、ネットショップの開業について詳しく解説します。

Amazonや楽天市場などのモール出店とネットショップでの開業比較

まずは下記の表を見てください。

◆大手モール3社とネットショップ比較

出典:Amazon楽天市場Yahoo!ショッピングなどの公式ホームページから筆者が独自に作成

この図を見ると、Amazonと楽天市場は、システム利用料が高めであり、楽天市場に至っては月額費用が19,500円も発生します。しかし、Amazonと楽天市場は日本国内では誰もが使うショッピングモールであり、集客力が抜群です。

そのため、ネットショップに関して全くの素人であったとしても、最初からある程度の売上を見込むことができるので、売上が上げやすいのです。自社ネットショップはそれに比べると、決済手数料や月額費用を抑えてコストコントロールしやすいメリットがあるのですが、無名のネットショップには集客の工夫が自社努力で必要となります。

Yahoo!ショッピング最も費用を抑えて始められるのですが、無料であるためにYahoo!ショッピングに参加している事業者が非常に多く、楽天市場と比べても10倍以上の出店数となります。そのため自社のショップを露出するために広告の費用を使わないと、なかなかYahoo!ショッピングで売上を上げづらいのが現状です。

このようにネットショップとモール各社を比べてみると、月額費用(システム利用料を含む)がかかるプラットフォームほど、集客しやすい面があり、ネットショップを開業する方は、自分の努力により売上を上げる工夫が必要となるのです。

ネットショップのビジネスモデルとは、広告費をかけにくいこと

自社でネットショップを開業する場合、集客は自社努力となります。そのためGoogle広告やYahoo!広告などの代表的なネット広告を検討すると思いますが、それは非常に難しい面があります。まず、ネットショップで販売する商品単価平均は下記の「GMOリサーチ社」の調査によると2,000~4,000円です。

ECの平均単価

引用先:約9割がECを利用!平均購入金額は「2,000円~3,000円未満」【GMOリサーチ調べ】(ECのミカタ)

もし、3,000円の商品があったとします。商品には仕入れや原価がありますし、その他にも人件費や決済手数料、ネットショップの月額費用などがかかります。それらの総額が2,000円であったと仮定します。

そして、ネットショップ向けのGoogleショッピング広告を出稿したとして、1クリックあたりの単価が10円と仮定します。通常商品が売れるために100クリックは必要となるので、1,000円の広告費をかけて商品が売れました。しかし、収支は0円となるため利益が出ません。

しかも、このシミュレーションはかなり楽観的なシミュレーションであり、実際には、このような単価と広告では赤字になることがほとんどです。つまり、ネットショップのビジネスモデルは、よほど高単価の商品であったり、あるいは原価が安い商品でなければそもそも広告を利用しづらいのです。

そのためネットショップの集客においては、SEOやSNSなどの広告費がかからない自社努力での運営が求められるのです。

すでに全国に既存顧客がいるならネットショップを開業しやすい!

自社のネットショップ開業は、集客が大変なのですが、もしすでに全国に既存顧客がいる場合だと、ネットショップで売上を上げるのは難しくはありません。例えば下記のような場合です。

◆全国に既存顧客がいる例

・北海道で有名なそばを全国販売。電話・FAXでのみ注文を受け付け
・伊豆でも1、2と言われる名産を店舗で販売
・京都で老舗の包丁屋。世界中から客が訪れる

このように、全国にすでに既存顧客がいたり、店舗が全国的にも有名店であれば、ネットショップを開業し、URLを店舗やメルマガで連絡すれば、すぐにネットショップで売上を得られます。またそれだけでなく、電話注文やFAX注文に比べると、24時間365日受け付けることができるので業務負担が軽くなるメリットがあるのです。

また、現在のネットショップのシステムは、スマホでも管理画面が操作できるため、わざわざPCの前に立たなくても、ネットショップ運営をすることができるのです。

新規事業で既存顧客がいない場合は、集客を自社努力で行う必要がある

もし、ネットショップ自体が全くの新規事業であり、自社ブランドが有名でなければ、ネットショップへの集客を自社努力でゼロから行う必要があります。ネットショップの集客には以下のような手段があります。これらの各施策については、私が書いている下記の記事を参考にしてください。

◆ネットショップの集客施策

①SEO施策

参考:ECサイトの商品ページに流入を増やすSEO施策(ebisumart Media)

②SNS施策

参考:EC事業者のためのSNS運用法を5つのポイントで徹底解説(Commerce Marketing Blog)

このように、新規事業でネットショップを行う場合、ネットショップにユーザーを集客するのは非常に大変な努力が求められるのです。

新規事業でネットショップを開業する場合は、費用をなるべく抑えて利益が出やすい体質にすべき

そのため、ネットショップを全くの新規で行うという場合は、システム利用料や決済手数料をなるべく抑えて、利益が出やすいシステムを選ぶべきです。その第一歩としては、下記の3つに代表される無料のカートシステムを利用すべきでしょう。

・BASE
・STORES
・カラーミーショップ

いずれも初期費用、月額費用に無料のプランが用意されているカートシステムだからです。ただし、完全に無料というわけではありません。以下の表のように決済手数料がかかります。

◆決済手数料(無料プランの場合)比較

※コンビニ決済等、上記に加え別途費用がかかるケースあり

出典:BASESTORESカラーミーショップの公式ホームページより筆者が独自に表を作成

初期費用や月額費用が無料だからと言って、デザインや機能が有料のものにすごく劣るというわけではありません。これらのカートシステムでも、最初からネットショップ運営に必要なデザインテンプレートや機能は全て実装されております。

注意点は、以下のような機能制限がある場合もカートシステムによりあります。

・ドメイン(URL)が自由に決められない
・商品登録数やデザインテンプレート数の制限
・決済方法の制限(Amazon Payや楽天ペイ等)

しかし、いずれの制限もネットショップを開業する上で必須というわけではありません。ですから、これから新規事業としてネットショップを開業する場合は、費用をなるべく抑えられる無料のカートシステムを利用して、売上を上げるためのノウハウを蓄積するのが良いでしょう。

ネットショップの有料カートシステムの選び方

有料のカートシステムを選ぶ場合、事前にネットショップでやりたいことを明確する必要があります。例えば以下のようなものです。

・デジタルコンテンツのダウンロード販売を行いたい
・定期販売や頒布会、サブスクリプションを実施したい
・基幹システムと連携したい
・独自のカスタマイズを行いたい
・テストマーケティングでネットショップをリリースしたい

このように、明確にネットショップで実現したいことがある場合は、それに見合った有料のカートシステムを利用する必要があります。例えば、ダウンロード販売や定期販売などは、特化したカートシステムが存在しているため、通常のカートシステムでは対応していないケースがほとんどです。

また、予算がある大手事業者の場合、基幹システムや独自のカスタマイズが必要という場合は、最初からカスタマイズが可能なシステムを利用する必要があるのです。

ネットショップの7つの運営業務

ネットショップの運営業務も、ネットショップ開業前に把握しておくべきでしょう。ネットショップには以下のような業務が存在します。

◆7つのネットショップ業務

①仕入れ・商品企画
②ささげ業務
③商品登録業務
④受発注業務・在庫管理
⑤商品梱包・配送
⑥アフターフォロー
⑦マーケティング

それぞれ解説します。

①仕入れ・商品企画

まず、ネットショップで売るべき商品を企画します。自社がメーカーの場合は、ネットショップで売れそうな商品やコンセプトを企画することです。大手であれば顧客に対してマーケット調査を行い、売れそうな商品を企画します。

自社が生産を行わない、ネットショップ専業である場合は、仕入れが必要となります。もし、「ネットショップを開業できれば商品はなんでも良い!」という事業者であれば、卸売業者と契約して、商品を卸す必要があります。

Googleで「ネットショップ 卸」と検索してみてください。無数の卸売業者が出てきます。これらの卸売業者と契約を結び商品を仕入れて、自社のネットショップで販売を行います。

ネットショップのコツは、手当たり次第販売する総合ネットショップを目指すのではなく、専門ネットショップを目指すべきです。

例えば食器と家具を同時に扱うネットショップでは、ユーザーから見ても「何屋なのか?」分かりづらくなり、売上が上げづらくなりますが、食器に特化したサイト、できればヨーロッパテイストの食器専門店や和のテイストの食器専門店など、よりコンセプトを絞ることで「何屋」なのか分かりやすくなります。

また、Googleのような検索エンジンからネットショップを見た場合でも、専門性が弱いと検索結果で上位になりにくい面があるので、ネットショップを開業する場合は、お店のコンセプトや扱う商品を決めて、誰から見ても何のお店なのか?分かりやすくする必要があるのです。

②ささげ業務

ささげ業務とは、仕入れた商品に対して、撮影、採寸、原稿を作ることの頭文字を取った略称です。

撮影(つえい)
採寸(いすん)
原稿(んこう)

ネットショップと店舗の違いですが、ネットショップでは手に取って商品のサイズや素材を確かめたりすることができません。そのため、ネットショップに訪れてきてくれたユーザーのために、写真やサイズ感、そして商品説明文が必要となるのです。

そして、ネットショップではささげ業務が非常に重要であり、ささげ業務の質が商品の売上を左右するのです。特に商品写真は非常に重要な要素です。多くのネットショップでは一眼レフカメラを使ったり、プロのカメラマンに撮影を依頼しております。

また、大手のネットショップであれば商品を魅力的に訴求するための原稿も、ライターに外注して商品説明の原稿を書くことが常であり、それだけささげ業務に注力しているのです。

③商品登録業務

ささげ業務で作成した、写真素材や採寸情報、原稿をカートシステムの商品登録画面を使って、登録する作業のことです。ささげ業務で作成した商品の情報を、ECの商品ページに登録する業務です。

商品登録数が多いネットショップ事業者であったり、アパレルのように季節性が強い商品であれば、登録業務は非常に負担が大きくなりますが、商品点数が少ない場合は、登録業務自体が少なくなります。

カートシステムの多くは、一括ファイルアップロードによる商品登録が可能なので、カートシステムの機能を上手く使って業務負担を下げましょう。

④受発注業務・在庫管理

ネットショップを開業すると、ユーザーから注文が発生します。これを受注業務と言います。そして注文が入ると同時に、在庫の引き当てがECのシステムで自動で行われます。もし仮に、ネットショップの管理画面以外で在庫を管理している場合は、手作業(※)で在庫引き当てを行う必要があります。
※連携していない場合

在庫が少なくなれば、在庫を切らさないように卸売業者に対して、発注業務も発生します。そのためネットショップ運営では、絶えず受発注の状況を見ながら、在庫管理を行う必要があるのです。

カートシステムにおいては、ネットショップ管理者がカートシステムのステータスを管理画面で変えるだけで、自動的にユーザーに対して、自動返信メールが送付されますので、ECサイトの初期設定においては自動返信メールも設定する必要があります。

⑤商品梱包・配送

注文を受注し、在庫確認ができれば、商品を梱包して発送までを行います。商品梱包は、実はリピーターを生むための重要な要素です。梱包が丁寧であれば、受け取ったユーザーは

ユーザー「梱包がずいぶん丁寧だな!いつもはAmazonで買っているけど、今度はこのネットショップでもいろいろ買い物してみようかな?」

と考えるユーザーも現れるからです。

また、カンタンなメッセージカードを同梱するのもネットショップ開業の初期においては非常に有効な施策です。筆者も昔、とあるネットショップで買い物したときに1行程度のメッセージですが、メッセージカードが同梱されて感銘を受けたことがあり、その後リピート購入をしたことがあります。

配送に関しては、下記の3社が基本となります。

・ヤマト運輸
・佐川急便
・日本郵便

詳しくは下記の記事にまとめてあるので、自社商品や配送地域にあわせて宅配業者を選定しましょう。

参考:ECサイトを開設する人のための宅配便大手3社のまとめ(ebisumart Media)

⑥アフターフォロー

商品の配送が終わっても、ネットショップ業務は終わりではありません。ユーザーから問い合わせも来ますので、電話、メール、チャットで対応する必要があります。返品処理も都度発生するので、ネットショップ開設時には返品の業務フローも明確にしておきましょう。

そして、顧客フォローが上手く行った瞬間というのは、ユーザーの満足度が高まっている瞬間とも言えます。商品レビューを個別にお願いすると良い商品レビューが集まりやすくなります。

商品レビューは、新規ユーザーが商品を購入する際の非常に重要な要素ですから、日ごろから商品レビューを集めることに注力しましょう。詳しくは下記の記事をご覧ください。

参考:ECですぐに成果を出すための口コミ・レビュー対策3つのコツ!(Commerce Marketing Blog)

⑦マーケティング

ネットショップの運営に関わる業務だけやっていても、売上はなかなか上がりません。売上を上げるためにマーケティングを積極的に行う必要があります。先ほども解説した通り、ネットショップにおいては集客が非常に大切なのですが、そのためだけのマーケティングでは十分とは言えません。

集客してきたユーザーをどのように、購入に結び付けるか?つまり初回購入を意識することが非常に大切です。初回購入とは、文字通り、ユーザーの最初の購入のことであり、1度でもネットショップで購入して商品が届いた経験があると、ユーザーは安心してネットショップを利用できるため、繰り返し購入してくれる可能性が高まります。そのためには、以下のような施策が必要となります。

◆初回購入を促す施策の例

・初回購入限定のクーポンやポイント付与
・送料無料
・売れ筋商品の露出

このような特典やネットショップの魅力があることで、ユーザーは初回購入を行ってくれる可能性が高まるからです。とにかく初めてネットショップを訪れたユーザーに対して、初回購入を成功させる意識を強くもって、マーケティングを実施していく必要があるのです。

ネットショップ開業のコツは小さく、早く

ネットショップを開業すべきか?どうか?悩んでいる方は、まずは早く始めてみることが重要です。なぜなら、ネットショップのノウハウは実店舗のノウハウと違い、やってみなければなかなか習得できないからです。

また、大手事業者が新規にネットショップを開設する場合は、将来カスタマイズやシステム連携ができるネットショップを視野に入れるべきです。最初から高額費用のかかるパッケージやスクラッチを用意すると、ネットショップ開業まで時間がかかります。

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ebisumart zero公式ホームページ