ネットショップで導入すべき7つの決済方法

ネットショップの開設にあたって導入する決済方法を検討する際、あるいはすでにネットショップを運営していて、新しい決済方法を追加する際に、「そもそもどんな決済方法があるのだろう?」と悩む事業者の方もいるでしょう。

ネットショップにおいて、決済方法はユーザーの購入決定を左右する重要な要素ですので、できるだけ多様な決済方法を用意しておくべきです

本日はforUSERS株式会社でマーケティングを担当している筆者が、ネットショップの決済方法について解説します。

利用したい決済方法がなければ62.5%のユーザーは離脱する?

まず前提として、冒頭に述べたように、ネットショップで買い物をする際に、決済方法の種類は売上に直結する非常に重要な要素です。

ユーザーは自分が利用したい決済方法がない場合、そのショップでの購入をやめて他サイトに流れていくことが多く、筆者自身もネットショップでの決済はクレジットカードか電子マネーと決めています。

以下、SBペイメントサービス株式会社が行ったECサイトにおける決済手段の利用実態調査において、「普段最も利用する決済手段が対応していない場合、物販サイトで62.5%、デジタルコンテンツサイトで51.5%のユーザーが購入しない」(※)という結果が出ており、半数以上が他サイトで購入する傾向にあることが分かりました。

※出典:SBペイメントサービス株式会社「決済手段に関する調査」(2019年8月21日)

このことから、ネットショップにおいては、せっかく購入を決めたユーザーを逃さないために、できるだけ多くの決済方法を用意しておくことが好ましいのです。

ネットショップで最も利用されている決済方法はクレジットカード決済

現在では、多くの決済方法がネットショップで利用できますが、次のグラフによると、インターネット上のショッピングにおいて最も利用される決済方法は「クレジットカード決済」となっております。

◆インターネットで購入する際の決済方法(複数回答)

2019-2020インターネット決済比率

出典:令和3年版 情報通信白書(総務省)

このグラフの通り、クレジットカードによる決済が圧倒的に多いのは、生活にクレジットカードが浸透していることもありますが、クレジットカード決済は、基本的にショップ側で即入金扱いになるため、発送などの処理が速いという理由も考えられます。デジタルコンテンツにしても、クレジットカードで決済すると即ダウンロード可能になるのは、ユーザーにとってのメリットの一つです。

次いで利用率の高い決済方法は「コンビニ決済」となっており、大抵の地域において、近所で24時間いつでも支払えるという利便性の高さは、クレジットカードや電子マネーを使わないユーザーにとっては、最も優先度が高い決済方法と言えるでしょう。

なお、前項でも引用したSBペイメントサービス株式会社の調査では、決済方法について、さらにセグメントされた詳しい統計結果が掲載されておりますので、あわせてぜひ参考にしてみてください。

参考:SBペイメントサービス株式会社「決済手段に関する調査」(2019年8月21日)

ネットショップで導入すべき7つの決済方法

ネットショップで導入しておきたい代表的な決済方法は以下の7つです。

以下に、各決済方法について解説します。

① クレジットカード決済

クレジットカード決済は、小規模から大規模まで、国内の多くのネットショップで導入されており、前項でも述べた通り、単純に所有者が多く最も利用率の高い決済方法です。新規でネットショップを立ち上げる場合は、まず最初に導入すべき決済方法でしょう。

クレジットカード決済導入の主なメリットは以下が挙げられます。

◆クレジットカード決済導入のメリット

・利用者が多いため購入機会の損失が少なくなる
・高額商品の購入も検討しやすく顧客単価が上がる
・即時決済なので未収などのトラブルを減らせる

一方で、デメリットとしては「手数料がかかる」「不正利用によるチャージバック(売上の取り消し)のリスクがある」などが挙げられます。特にチャージバックが発生すると、返金する必要がありますので、しっかりと不正利用対策をしておくことが必要です。

クレジットカード決済の導入には、各クレジットカード会社との直接契約と、決済代行会社を経由する一括契約がありますが、直接契約は申請や運用に手間がかかり、セキュリティにかかるコストも大きいため、手数料がかかっても決済代行会社を経由する契約が一般的です。

② コンビニ決済

コンビニ決済もネットショップにおいて多く利用される決済方法です。商品の購入後に、コンビニ決済用の受付番号ないし払込票が発行され、指定のコンビニで支払います。

先に述べたように、コンビニは店舗数も多く、24時間365日いつでも支払いができるため利便性が高い決済方法です。また、クレジットカードや銀行口座を持っていないユーザーも利用できる決済方法なので、ネットショップで扱う商材が若年層向けである場合は、ぜひ導入しておきたい決済方法です。

◆コンビニ決済導入のメリット

・クレジットカード決済同様に利用者が多い
・クレジットカードや銀行口座を持っていなくても利用できる
・前払い方式の場合は代金未収のリスクがない

一方で、注文後に支払期限切れでキャンセルになるリスクもあります。ユーザーの気が変わるなどの意図的なキャンセルの他、支払期限が短いため、支払い忘れによるキャンセルもあり、キャンセルのリスクが高いことがデメリットです。

③ 銀行振込・郵便振替

ネットショップが指定した銀行口座・郵便局口座に購入代金を入金する決済方法で、代金引換とともに長年利用されてきており、40代以上のユーザーに比較的好まれる決済方法の一つです。

以下、ジャックス・ペイメント・ソリューションズ株式会社の調査結果を見ても、40代と60代以上がよく利用する決済方法の上位に、銀行振込(郵便振替)が入っているのが分かります。

◆ネットショップで利用したことがある決済方法(上位3項目抜粋)

ECサイトで利用したことがある決済方法

引用(グラフ):ジャックス・ペイメント・ソリューションズ株式会社プレスリリース(PR TIMES)「【2022年版|ネットショッピング利用状況と決済手段に関する調査】希望する決済手段がない場合、そのECサイトでの購入を見送る方は6割を超える」(2022年7月13日発表)

この決済方法の主なメリットは以下です。

◆銀行振込・郵便振替導入のメリット

・簡単に導入しやすい
・幅広い年齢層に利用してもらいやすい
・不正利用のリスクが低く信頼性が高い

デメリットについては、入金金額や振込名義の照らし合わせといった消込作業により、入金確認に時間と手間がかかることなどが挙げられます。

④ ID決済

昨今、利用者の増加とともにネットショップでも導入が進んでいる決済方法がID決済です。ユーザーが登録済みの外部の決済サービスとID連携して、そこに登録されている情報を用いて決済する方法です。代表的なサービスには「Amazon Pay」「楽天ペイ」「PayPay」などがあります。

ユーザーは、ネットショップのカート画面で、自分が利用している決済サービスにログインするだけなので、住所やメールアドレス、クレジットカード情報などを入力する必要がないため、購入の手続きが簡略化されるのが特徴です。

ID決済の主なメリットは以下のとおりです。

◆ID決済導入のメリット

・「カゴ落ち」を防ぐことができる
・簡単に利用できるため購入のハードルが低い
・決済サービスのキャンペーンに参加できる

ID決済の大きなメリットは、すでに登録済みの情報を利用するため、ユーザーがネットショップのカート画面で情報を入力している途中に離脱してしまう「カゴ落ち」を防止できる点です。

また、各決済サービス会社が開催するポイント還元やキャッシュバックなどの各種キャンペーンに参加することで、新規顧客の獲得やリピート購入の促進につながりやすいことも、ID決済特有のメリットの一つです。

デメリットとしては、手数料がかかることや各決済サービスの導入にコストがかかることが挙げられますが、決済代行会社を利用して一括導入することで、導入コストやカスタマイズの工数は軽減できます

現状では、ID決済が利用できるネットショップは限られているものの、今後キャッシュレス化がより進んでいき、主流の決済方法になる可能性もあるため、できれば導入しておくのがおすすめです。

⑤ 代金引換

代金引換は、銀行振込や郵便振替同様に従来から利用されている決済方法です。商品の引き渡し時に、宅配業者に支払いを行います。

代金と同時に商品が手渡されるためトラブルが起きにくく、ユーザーと事業者双方にとって確実な決済方法と言えます。導入のメリットは以下の通りです。

◆代金引換導入のメリット

・確実に代金を回収できる
・受注後すぐに発送の手配ができる
・クレジットカードや銀行口座を持っていなくても利用できる

一方で、デメリットとして「受け取り拒否」のリスクがあり、その場合の返送費用や代引手数料は事業者負担になります。

なお、代金引換は、原則として現金支払いになりますが、佐川急便やヤマト運輸ではクレジットカードによる支払いにも対応しております。

⑥ 後払い

後払いは、受注後、先に商品が発送され、ユーザーが商品を受け取って、内容を確認してから代金が支払われる決済方法です。通常、代金の請求や入金確認は決済代行会社によって行われます

まだ導入の少ない決済方法ですが、商品確認後の支払いということでユーザーに安心感と信頼感を与えるため、導入するショップも増えてきております。

参考:日本ネット経済新聞「ネットプロテクションズ、国内『後払い』シェア41% 2020年度取扱高は4300億円」(2021年9月3日掲載)

◆後払い導入のメリット

・ユーザーに安心感と信頼感を与える
・受注後すぐに発送の手配ができる
・発送後の事務処理は決済代行会社が行うため負担軽減になる

デメリットとしては、支払いが行われないことによる代金未収リスクがあることや、決済代行会社への手数料が発生することなどがあります。

⑦ キャリア決済

キャリア決済は、ユーザーが利用する携帯電話の毎月のキャリア利用料金の請求に、商品代金が上乗せされる決済方法です。

決済が簡単で、クレジットカードを持っていない若年層にも利用しやすい決済方法なので、コンビニ決済同様に若年層向けの商材を扱う場合は、導入しておきたい決済方法です。

◆キャリア決済導入のメリット

・幅広いユーザーを取り込める
・簡単に利用できるため購入のハードルが低い

キャリア決済のデメリットは、キャリアごとに決済の仕様が異なることや、利用上限金額が設定されていることがあるため、高額な商品を扱うショップには向かないことなどが挙げられます。

カートシステムは決済方法もあわせて検討が必須

ネットショップを開設する際、さまざまなカートシステムから、機能面やデザイン面を軸に検討することが多いと思いますが、対応している決済方法もカートシステムによって異なるため、自社のネットショップに導入すべき決済方法もあわせて、カートシステムを検討することが重要です。

また、各カートシステムや、そのプランによってクレジットカード決済手数料も異なりますので、月額費用やシステム利用料に加えて、決済手数料も含めた総合的なランニングコストを把握する必要があります。

関連記事にて、大手カートシステム会社のプランごとに決済手数料をまとめておりますので、本記事とあわせてご覧ください。

関連記事:【大手7社16プラン】ネットショップカード決済手数料比較

導入に審査が必要な決済の申請は優先して行う

そして、カートシステムを利用してネットショップを構築する際に見落としがちなのが、クレジットカード決済などは審査が必要な点です。

審査が必要な決済を申請してから利用できるようになるまで、ある程度の時間がかかることがあるため、いざネットショップが完成しても「審査中で決済が利用できないため公開できない」ということのないように、カートシステムを導入したら優先して申請を行うべきです。

ただし、ネットショップがある程度形になっていなければ審査ができないため、細かいデザインや商品登録などは後にして、一通り商品の購入ができて、特定商取引法に基づく表記も用意するなど、審査できる最低限の形にしてから申請する必要があります。

決済方法の導入はユーザーのメリットを念頭に

本記事で解説したように、ネットショップで利用できる決済方法にはさまざまな種類があり、導入する決済方法が多いほど販売機会損失のリスク低減につながる重要な要素です。

せっかくユーザーが購入を決心したにもかかわらず、希望する決済方法が利用できない場合、ユーザーは購入をあきらめるばかりでなく、二度とそのショップに訪れない可能性もあります。

各決済方法には、事業者にとってデメリットと感じられる点もあるかもしれませんが、導入にあたってはユーザーにとってのメリットを第一に考えて、充実した決済方法を用意するべきです。

なお、現在カートシステムを検討しているのであれば、インターファクトリーの「ebisumart zero(エビスマート ゼロ)」もあわせてご検討ください。

クレジットカード決済、コンビニ決済、ID決済、キャリア決済などさまざまな決済サービスに対応しております。また将来的なカスタマイズや、各種の外部システムとの連携も可能な柔軟性を持ったカートシステムなので、非常に導入しやすいメリットがあります。

詳しくは、下記のebisumart zero公式サイトをご覧ください。

ebisumart zero公式サイト